サステナブルな人・モノ・コト 「24KIRICO」
“サステナブル”は、今も未来も心地よく暮らすためのキーワード。札幌での取り組みをポロコ編集長がインタビューしました。
”ものづくり”を通じた、自然と人間の共生
その土地の資源を活用すること。昨今よく叫ばれる価値観だが、エゾシカの革を使ったバッグや小物を制作する「24KIRICO」の高瀬季里子さんは、'08年のブランド創設前から取り組む。
頭数の増加から、作物の被害や交通事故など、社会問題になっているエゾシカ。ジビエ料理などに活用されているが、駆除されたエゾシカの多くは焼却処分となり、命を無駄にしながら、CO2を出しているという。
両親ともルーツは北海道に入植した農家で、「猟期には祖父と父、叔父が狩猟に出かけていた」という高瀬さんは、幼いころから自然に親しみ、食卓にはエゾシカ料理が並び、北海道の自然や野生動物との繋がりを感じてきた。「子どものころは、狩猟で動物を殺すことに抵抗がありましたが、同時に『生きること』『命をいただくこと』を小さいながらに考えて育ってきました」。
エゾシカの革を扱うようになったのは 年前。北海道の素材を使ったものづくりを模索する中で、エゾシカ協会との取り組みがきっかけとなったそう。流通経路の開拓から始まり、革の在庫を抱えるリスクを取りながらブランドをスタート。代表作「EZObag」「EZO/slashシリーズ」は札幌スタイル認証製品に選ばれた。
エゾシカの革は通気性がよく、保温性もあり、やわらかくて軽いのが特徴。自然界にあるような曲線を活かしたバッグは温かみがあり、しっくりと手になじむ。端材も、パーツやアクセサリーにして、素材をできるだけ余さず利用している。
年2月には、洋服の新ブランド「HADACA肌鹿」を発表。一つひとつの命を敬い、エゾシカが大自然を生き抜く中で付いた傷の部分も”ありのまま”活かした服を展開していく。「自然と共に生きる、人間本来の価値観を伝えていけたら」。

右から、受注生産・手縫いで仕上げる「EZO-02bag」M96,800円、ロスとなる端材を使ったワイルドなフリル感の「furiru-full-re」XL50,600円、シンプルなデザインで軽さにこだわった「EZO/slash」M42,900円。購入はイベント出店時などに可能。

「役に立つアート」を追求し、エゾシカ革アルチザンデザイナーとして活動する高瀬季里子さん。武蔵野美術大学工芸工業デザイン学科にてテキスタイルを専攻。

伸縮性に優れ、複雑なデザインを実現することができるというエゾシカの革。素材としての可能性を追求している。

'22年8月~9月に開催した「Globe-エゾシカが舞い降りる大地に私は立つ-」展の様子。エゾシカの革を積み上げたインスタレーションは、革が元々は生き物だったことを想起させるよう。

端材を活用したバレッタやブローチ、革に漆で模様を付ける伝統工芸「印伝革」のアイテムなど、気軽に身に着けられるアクセサリーもある。

保管室には、様々な色に染色されたエゾシカの革が並び、それだけでアート作品のよう。

人間が過剰に自然へ介入したことで、数が増えてしまったエゾシカ。農作物の被害や交通事故の問題のほか、エゾシカの採食や踏みつけによる、森の生態系への影響が懸念されている。
24KIRICO(24キリコ)
011-577-8104
24KIRICOのアイテムが出品!
ka e kaや、HADACA肌鹿の新作も!
北海道の祖まり
~アイヌ文化の新しいものがたり~
3/9(木)~14(火)
10:30~19:30(最終日~17:00)
丸井今井札幌本店 大通館9F催事場

SDGs(持続可能な開発目標)を達成するには、一人ひとりの行動が不可欠。地球や社会、そして自分たちの心地いい暮らしのために、サステナブルなライフスタイルを送ろう。
Interviewer
poroco編集長 谷藤 夏紀
自然が好きで、オールシーズン登山やキャンプを楽しむ。山や川、海に落ちているごみの多さに驚いたことをきっかけにSDGsに興味を持ち、日常的なごみ拾い、5Rを心がけるなど、できることから実践中。