【たすけてドクター】009. ニキビが多くて困っています
ニキビが多くて困っています
生理不順の原因は？
Q.
【1】口の周り(特にアゴ)のニキビがひどく、皮膚科でもらった抗生物質やビタミン剤を飲むと多少良くなりますが、抗生物質をやめるとまたすぐにできてしまいます。口の周りのニキビはホルモンバランスが悪いせいだと聞きましたが、治療はできるのでしょうか？ 婦人科を受診したほうがいいのでしょうか？
(28歳・会社員)
【2】働きだしてのストレスか、フェイスラインに赤いニキビがたくさんできる。その他の部分もニキビが出ては消えるの繰り返し。10代の頃から悩んでいたけど、最近では乾燥もするしニキビもできる…とより複雑になっているみたい。
(24歳・会社員)
A. ニキビも10代から30代の女性の愁訴(ま、"お悩み"ですナ)として多いものですが、なかなかスンナリとはいかず治療に苦慮します。
直接の原因は、アクネ菌(正確にはプロピオニバクテリア アクネスといいます)が皮脂線(皮膚に潤いをもたせるために、皮脂を分泌するところ)に巣食っていて、その菌が皮脂を脂肪酸に変え、過酸化脂質ができるために炎症が起きるのです。
この皮脂が、皮膚の表面にある角質と混じり合って皮脂線にたまり、コメド(面皰：めんぽう)という固まりになって盛り上がったものがニキビです。コメドの口が開いていて中が見えるときは黒ニキビになります。これに炎症が加わると赤ニキビになり、炎症が進んで膿がたまれば大きくなります。コメドの口が開いていない場合は白ニキビになるんですネ。
原因を考えると、アクネ菌と皮脂が問題となるので、この2つをどうにかすればよいことになります。アクネ菌については、ご質問の中にもあるとおり抗生物質が効果的です(効きかたには個人差がありますが)。問題は皮脂のほうですね。これは細菌のエサになってコメドの内容物を作るわけですから、分泌を減らさなければなりません。
生理前にニキビが悪化するかたが多いようですが、これは、生理の2週間前から体内に分泌される黄体ホルモンが原因だといわれています。黄体ホルモンは化学構造上、男性ホルモンに似ているため、皮脂線を刺激して生理前に皮脂の分泌量が増えるんですね。
黄体ホルモンだけをスッキリと抑制する方法はないのですが、低用量ピルを使うと卵巣からのホルモン分泌が抑えられるため、ニキビにもいいことがあります。よく「ホルモンバランスが崩れたせいかニキビがひどくて…」と婦人科を訪ねてくるかたがおられますが、残念ながら特効薬はないのです。
ニキビをもたらす婦人科の病気としては「多嚢包性(たのうほうせい)卵巣症候群」が考えられます。生理不順や無月経をきたし、太ったり、毛深くなったりする病気ですが、ニキビがひどくなる場合もあるのです。
女性ホルモンは実は男性ホルモンを材料にして作られているのですが(聖書には男の肋骨から女が作られたと書いてありますが、聖書には先見の明があったのかな？)、男性ホルモンから女性ホルモンへの転換がうまくいかず、男性ホルモンがたまって過多になってしまうために起こる病気です。この場合には婦人科での治療ということになりますが、この病気にも特効薬はありません。
ただ、ビタミン剤が有効なことがあり、特にビタミンB1・B2・B6がよく使われます。B1とB2は新陳代謝をよくし、B6は皮脂の分泌を抑える働きがあるのです。過酸化脂質に対してビタミンＥが用いられることもあります。
あとは、よく洗顔して毛穴につまった皮脂や汚れを落とし、脂肪や糖分の多い食事を控える、といった日常生活での努力に負うところが大きいですね。ストレスや寝不足にも要注意です。どんな病気もそうかもしれませんが、規則正しい生活が基本ですネ。
漢方薬にもニキビに効果を示す薬はたくさんあります。いくつかご紹介すると、荊芥連翹湯(ケイガイレンギョウトウ)は色が浅黒く、手足に汗をかきやすい人に向いており、鼻炎にも効果的です。清上防風湯(セイジョウボウフウトウ)は顔面が赤く、のぼせや目の充血がある人で、ニキビが赤く化膿しやすい場合に良いとされています。
また、生理痛などの月経障害もある人は、体格に応じて当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン)や桂枝茯苓丸(ケイシブクリョウガン)、さらに、◆苡仁(ヨクイニン)を加えたものを使います。このほかにもまだまだありますので、漢方薬の専門医を訪ねて相談されるといいと思いますよ。
◆ = くさかんむりに「意」
