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【たすけてドクター】143. 低用量ピルに副作用はある?

2018年8月1日

低用量ピルに副作用はある?

Q. 中絶をきっかけに低用量ピルを飲み始めました。まだ服用して2週間足らずですが、毎日気分が落ち込み、涙が止まりません。これはピルの副作用なのでしょうか。
(29歳・派遣)

A.  最近は避妊をはじめとして、生理不順や生理痛などの症状に対しても低用量ピル(以下ピルということにします)が用いられるようになってきました。このピルは、血液中の女性ホルモンを通常よりも少しだけ高めにすることで、脳から分泌されているホルモンを抑制し、排卵が起きない状態にするものです。ほぼ28日周期で生理(様出血)が来ますし、出血量や日数も少なくなるのが普通です。

   しかし、ここで問題となるのがピルによる副作用です。重篤なものとしては血栓症といって血管が詰まってしまう病気があり、これは喫煙によってリスクが上がります。なお、ピル先進国であるアメリカのFDA(日本でいえば厚生労働省のようなところ)で出している文書には次のような記載があります。
  「経口避妊薬(すなわちピルのことです)服用者の喫煙は、心血管系の重篤な副作用の危険性を増大させる。この危険性は年齢および喫煙量(1日15本以上)に伴って増加し、35歳以上ではとくに顕著である。したがって、経口避妊薬服用者は喫煙すべきではない」。これを受けて、日本でも35歳以上の女性で1日15本以上タバコを吸う人には、処方できないことになっています。

   さて、ピルは精神面にも影響を与えることがあり、その種類としては抑うつ、感情の変化、性欲の変化、精神障害があります。ご質問者の場合は、抑うつに入るのでしょうネ。この抑うつの具体的な症状はたくさんありますが、無気力、憂うつ感、不安感、食欲不振、不眠症、疲労感、倦怠感、脱力感など様々です。前にもお話ししましたが、「月経前症候群」(PMS)という、生理前に色々と体や精神面に障害をきたす病気があります。これは、黄体ホルモンの分泌が増加する時期に一致しているので、このホルモンが症状のきっかけを作っていると考えられています。ピルにも同じように黄体ホルモンが入っていますので、私の患者さんでは経験がありませんが、ピル服用時も精神症状が出ることはあり得ます。

  では、どうするか、ということですが、ピルにもメーカーによって種類があり、使われている黄体ホルモンも微妙に違いますから、ピルを変えてみるか、あるいは、抑うつ状態に効く薬を併用しながらピルを続けるか、のどちらかでしょう。処方している先生とご相談ください。

poroco本誌過去掲載分から一部抜粋で掲載しています。

 

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