【たすけてドクター】044. 心療内科はどんなところ?

心療内科はどんなところ?
Q. 心療内科はどういう診療をするのでしょうか? 精神科みたいな感覚があるので知りたいです。処方せんも出るのでしょうか?
(30歳・主婦)
A. 「心療内科」とは、簡単にいうと「心身症」を診る科ということになります。この「心身症」という病気は、名前のごとく"心"すなわち精神的なものが原因で"身(体)"に病気が現れているものをいいます。ですから心療内科では、体そのものに効く薬も使いますが、どちらかといえば精神的なケアが重要なので「よくお話を聞く」、「カウンセリングをする」といったことや、精神安定剤や抗うつ薬などを用いて治療をします。
精神と肉体は西洋医学では2つに分けて考える傾向が強いのですが、実際には会社のストレスで胃炎になったり、脱毛が起きたりする例を挙げてもわかる通り、心と体は密接不可分のものです。私は全ての病気は(割合の大小はありますが)精神的なものと結びついていると考えています。カゼをひいて具合が悪くなれば精神的にも元気が出なくなりますし、逆に精神的に落ち込めばカゼをひきやすくなります。最近「精神神経免疫学」という学問が盛んになり、精神と免疫が大きく影響しあっていることがわかってきました。
北海道では大学病院に「心療内科」がありませんので、内科や精神科の先生が担当したり、産婦人科などで心身医学的治療を取り入れているところもあります。本当は「心療内科」という特別な科を設けるのではなく、全ての科の中で心身医学的治療を施すことができるべきである、というのが私の持論です。
なお、似た名前で「神経内科」というのがあります。これは脳神経外科の内科版です。脳あるいは神経という"物質"に病気が起きた場合に"手術などの外科的治療をせずに飲み薬で治療しましょう"という科です。ですから心とか精神的なものとはあまり関係がありません。ただ心療内科と間違って来た患者さんに対しては、心療内科的な治療をする場合はあると思います。