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【たすけてドクター】158. 男性経験のない女性は内診してもらえないの?

2018年8月1日

男性経験のない女性は内診してもらえないの?

Q.  生理痛や生理前の吐き気がひどく、生理中以外も時々おりものに血が混じることなどから、一度きちんと検査していただきたいのですが、男性経験がないと答えると、エコーのみの診察になりました。他の病院でもそのようなことになってしまいました。性交渉の経験がなくても、膣を広げての細胞診は可能だと聞いたのですが、お願いすれば細胞診はしてもらえるのでしょうか。
(21歳・女性)

膣口部の狭さで診察方法が限られる場合も
 男性経験のない方の婦人科診察は、処女膜によって膣口部が狭くなっているために、診察方法が限られることがあります。その「狭さ」は個人差が大きいので、普通に経膣的に超音波検査(簡便には「エコー」といいます)ができる場合もあれば、小指の先がやっとという方もおられます。したがって、私の場合で言いますと、内診台に上がっていただいて、ケースバイケースで診察方法を選択しています。

 

経膣エコーが難しい場合は経腹エコーで診察
 超音波を発する経膣的な装置(「プローベ」といいます)は2cmくらいの直径ですので、挿入が可能な場合は経膣エコーを使いますが、不可能な場合はプローベを肛門から挿入して直腸側から、子宮、卵巣を観察します。この方法は、ちょっと気持ちは悪いのですが、もちろん痛みはありません。
  しかし、このような方法を取らずに、経腹エコー(お腹の表面から見るタイプで、プローベの形も異なります)を用いるドクターも多いと思われます。ご質問の方も経腹エコーをされたのではないでしょうか。ただ、情報量としては経膣エコーの方がはるかに多く、子宮、卵巣に関してはくっきりとした画像が得られますので、事情が許す限り私は経膣エコーを選択しています。しかし、小児などの場合は、もちろん最初から経腹エコーを選択します。

内診を敬遠するのは処女膜を破瓜しない配慮のため
 また、細胞診(ガン検診)ですが、子宮頸癌はパピローマウィルスの感染によって生じるため、男性経験がなければ、まずなることはありません。ですから、体部ガン(内膜ガン)を疑わない限り、膣を広げての内診はしないという考えの先生は多いと思われます(体部ガンは男性経験のない方のほうがリスクが高くなります)。
  内診は子宮や卵巣、その周囲の状態を把握するために行われるものですから、子宮がん検診をすることが本来の目的ではありません。ご質問の方のように出血がある場合は、出血源の確認のために内診をするのが普通ですが、男性経験がない方の場合は、やはり最初から内診を敬遠されるかもしれません。これは、診察によって処女膜を破瓜しないようにという配慮のためです。やはり診察する側も少し“慎重になってしまう”わけですネ。処女膜の状態は冒頭にも述べた通り個人差が大きいので、小さいクスコ(内診時の器具です)を使えば普通に内診の可能な方もいらっしゃいます。ですから、患者さんの方からお願いされた場合には、できる限り内診はすると思いますが、その時には診察の結果、出血する可能性がありますので、その点覚悟は必要でしょう。

 

吐き気は「月経前症候群」の可能性あり
 前回に続いて診察のお話でしたが、子宮がん検診、クラミジアの検査、エコーによる子宮や卵巣の状態の把握などは、女性にとって重要な検査ですから、恥ずかしがらずに定期的にされることをお勧めします。
  今回のご質問には直接関係はないのですが、生理前の吐き気は「月経前症候群」の可能性があります。これは内診やエコーをしたことで診断がつくというものではありませんが、いろいろお薬はありますので、内診の有無にかかわらず、ご相談されることをお勧めします。

poroco本誌過去掲載分から一部抜粋で掲載しています。

 

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