さっぽろカフェ連載(38)/寿珈琲
下町情緒漂う街の喫茶店
常連のおじさんが新聞を片手にスタッフの人と話しているそのすぐ横で、若い女の子たちが観光ガイドをひらいて何だか楽しそう。
そんな自由な感じがとってもいい。
街ナカなのにどこか下町ムードが漂う創成川の東側、「寿珈琲」がオープンしてから15年ほどになる。
私は最初からこのお店が好きだった。
幼い頃から親に連れられて、馴染みの喫茶店に訪れる子どもだったからか、緊張するというより「なんだか懐かしいな」と思ったのを覚えている。
大体はカウンターの端っこに座る。
オーダーしてから豆を挽き、丁寧にネルドリップしてくれる様子をこっそり盗み見ながら、淹れ方を学んだりもした。
毎日でも飲みたくなる一杯を
寿珈琲のコーヒーはいつでも飲みたいコーヒー。
おやつでもパンでも、何と合わせても相性がよくて、するする飲める。
焙煎しているのはすべてオーナーの柴田さんだが、ご本人もその味を「旅行などで札幌を離れたら、やっぱり飲みたくなる味」だと語る。誰が飲んでも、冷めてしまってもなお、美味しいと感じられる味わいを目指しているそうだ。
現在は苫小牧・イコロの森にある工房で週に数回焙煎しているそうで、常に新鮮なものを提供してくれる。
街づくりにも関わる柴田さんのお人柄もあって、メニューは札幌のいろんな顔が見えてくる。
例えばゴルゴンゾーラを使ったあのトーストも、シェフが作ったケーキも、素朴なのに垢抜けている焼き菓子も。
いろんなお店の美味しいを詰め込んだメニューは、まるで札幌の縮図みたい。
軽くお酒を飲みたいときにも
ナチュールワインやクラフトジン、ビールなど、終日お酒を出しているのも同店ならでは。
ちょっと休憩に来る人も、軽く一杯飲みたい人も、同じ空間を共有できる懐の深さがある。
とりわけ寒い季節におすすめなのは「アイリッシュコーヒー」。
ダッチコーヒーとフランベしたウイスキーに、ほんのりと甘みとコクを添えるザラメを加え、仕上げにはまろやかな生クリーム。立ち昇るリッチな香りが特徴のホットカクテルは、体を芯から温めてくれる。
ちなみに寿珈琲は喫煙可能店。
タバコを吸わない私だけれど、そんな所も気に入っている。
互いを気遣いながら嗜む嗜好品は、大人にだけ許された愉しみだと実感できるから。
撮影・文/小澤和歌子
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店名
コトブキコーヒー寿珈琲
- TEL 011-303-1450
- 住所 北海道札幌市中央区南2条東1丁目1-6 M’s二条横丁1F
- アクセス 地下鉄大通駅36番出口より徒歩約4分
- 駐車場 なし
- 営業時間 9:00~24:00(日曜、祝日10:00~20:00)
- 定休日 なし
- 料金目安 800円
- カード 可/主なものOK
- 席数 15席/喫煙可
- 子供の利用 不可
- URL http://kotobuki-coffee.com/