さっぽろカフェ連載(1)/時計のない喫茶店
良質な豆を少量ずつ自家焙煎
私はコーヒーが好きだ。
食事は多少抜いてしまうことがあっても、丸一日、コーヒーを飲まないなんてことはまずない。
そんな私が札幌のカフェや喫茶店をめぐる連載をこのたび始めさせていただくことになった。
記念すべき1回目は北18条駅からほど近い場所にある「時計のない喫茶店」だ。
無垢のカウンターにヴィンテージのカップ。時計すらないミニマルな空間には心地いい音楽が流れ、穏やかに談笑する人々や、ぼんやり外を眺める人、いろんな人でいつも静かににぎわっている。
果実味あふれるストレートコーヒー
店主・村上さんは札幌では名の知れた老舗の珈琲店出身。
「8年くらい前職の珈琲店にいたっていうと、すごく熱心に修業したように思われるけど……、実際は気がついたらそのくらいの時間を過ごしてただけなんですよね」とカラカラ笑う。
お店は浅煎りの豆が特に美味しい。
実は村上さん自身が深煎りの豆を濃く入れて飲むのが苦手だったそうで、お店を始める少し前、東京で「FUGLEN COFFEE ROASTERS」のコーヒーと出合って衝撃を受けたのだとか。それからは独自で研究しながらベストな煎り具合を探る日々。
現在はブレンドのほか、仕入れによって様々なストレートコーヒーも楽しめるスタイルに落ち着いた。
のんびりするなら焼き菓子をおともに
提供している菓子類は素朴ながら洗練された味わいでファンの多い「霜月堂」のもの。
季節のケーキも美味しいけれど、バターサンドが気に入っている。
ラムレーズンや柑橘類、フルーツなど、季節や日によって内容は変わるのだが、こっくりとした味わいのバタークリームが村上さんが淹れるさわやかな風味のコーヒーとよく合う。ちょっぴりお行儀は悪いけれど、思いっきり大きな口を開けて頬張ると幸せな気分になる。
コーヒーを彩る音楽と映画
そしてこのお店を語るときに欠かせないのが映画だ。
往年の名作や、なかなかお目にかかれない個性的な作品の上映会も不定期開催している。
「喫茶店をやってなかったら、映画の配給会社で勤めてみたかったな」といたずらっぽく笑うが、実際のところその熱量は計り知れない。だって、気に入った映画をどうしてもお店で上映したいと、配給会社へ直談判したことがあるのだから!
アルコールや軽食も提供しているので、夜は気軽に一杯飲みながらカウンターで過ごすのもオススメ。ポジティブでフットワークの軽い村上さんとの他愛ないおしゃべりは、いつも私に元気をくれる。
アレンジコーヒーも多彩で、モコモコの泡がクセになる「カプチーノ」も一度味わってほしいひと品。これからの寒い季節に心も体もポカポカに温まること間違いなし。
さっぽろカフェ連載 一覧
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店名
トケイノナイキッサテン時計のない喫茶店
- TEL 090-9088-9126
- 住所 北海道札幌市北区北17条西4丁目1-11
- アクセス 地下鉄南北線北18条駅2番出口より徒歩約3分
- 駐車場 なし
- 営業時間 10:00~18:00
- 定休日 月曜
- 料金目安 750円
- カード 不可
- 席数 15席/全席禁煙
- 子供の利用 OK
- URL https://www.instagram.com/tokeinonaikissaten/