さっぽろパンスタイル(1)/a ton cote
札幌で活躍するパンコーディネーター・森まゆみさんの連載がporocoのWEBサイトでスタート! 札幌のパンにまつわる、あれやこれやの美味しいお話をチェックして。
ブーランジュリー カフェ&ブラッスリー ア・トン・コテ
今年4月に開業1周年を迎えたこちらは、ブーランジェリー(パン屋)とカフェ&ブラッスリー(お酒と料理を楽しむ店)があり、フレンチレストラン「ル・プルコア・パ…」へとつながる3業態が併設する北海道では珍しい店舗。
フランスにはよくあるというこの店構えを、この1年半で朝8時のオープンから夜のディナーやレストランウエディングまで、フルに使いこなすお客様が増えている。
ハード系を中心にヴィエノワズリーも充実した品揃え
シックで落ち着いた雰囲気の店内には約40種類のパンが並ぶ。
開店時間の朝8時にはハード系のパンが焼き上がり、クロワッサンやデニッシュも揃いはじめ、思い思いのパンを求める人たちで店は賑う。人気のバゲットの焼き上がりは11時頃、その後11時半には全商品が揃う。
ハード系はア・トン・コテの真骨頂
「特別な材料は何も使わない、誰でも手に入るものでパンを仕上げる」というア・トン・コテのパン。
香りと味わい、食感を大切にする生地づくりに努める製法で完成されるハード系は同店の真骨頂といえる。
経験をいかしたパンづくりをする竹内哲也シェフ
パンの製造を担当するのは職人歴28年の竹内哲也シェフ。
東京・恵比寿の「タイユヴァン・ロブション(現ジョエル・ロブション)の」パン部門シェフの経験を経て札幌で「アンシャンテ」を開業。
第1回北海道バゲットコンクールでは初代優賞者となった。
その後、「ル・プルコア・パ…」の久保田シェフとの縁から、「ア・トン・コテ」をスタートさせた。竹内シェフがライフワークにしていた“パンと料理のコラボ”を存分に表現する店でもある。
おいしさの秘密は…
竹内シェフが焼くパンは料理人の評価も高い。
そのおいしさの秘密を「特別なことは何もしていないつもりです」という竹内シェフに、さらに聞いてみた。
「捏ね上げの温度や具合、発酵の具合など微妙なタイミングをみて、どこでよしとするかの判断だと思います」と、答えが返ってきた。
すべては生地の扱い方。必要以上に生地に触らない。
成形は一度で決める。
まさに経験と感性から生まれた技術なのだ。
人気はフランスパン
毎日11時頃に焼き上がるのが、
バタール・バゲット・ブール(丸い)など、フランス産とカナダ産の小麦粉をブレンドした小麦粉を原材料にしたフランスパン。
クープ(切れ目)の鋭い立ち上がり、口のなかではじけるようなクラスト(皮)のパリパリ感、しっとりとやさしいクラム(中身)、
香りがよく、味わい深いのがア・トン・コテのフランスパン。
ルヴァンフィグ
小麦粉90%ライ麦粉10%をブレンドして、ルヴァン種を発酵種にしたハード系の基本生地にイチジクとオレンジピールを混ぜた「ルヴァンフィグ」。
オリーブパン
ブラックオリーブと刻んだ玉ねぎを炒めてから鍋に入れ、
そのままパンを焼くオーブンで2時間焼く。
玉ねぎの味と香りをオリーブに移し、十分に水分を飛ばした
フィリングが完成する。
ルヴァン種の生地に混ぜて、オリーブを堪能するパンに仕上げた。
カマンベール・ノワ
クリームチーズとカマンベールチーズを細かく刻んだクルミを入れた生地で包んだパン。
フォークで型をつけたお化粧が印象的。
洋梨のデニッシュ
生地とバターのバランスがおいしいサクサくの生地に、
アーモンドクリームをかけ、その上に洋梨のコンポートを
のせたデニッシュ。
カフェ&ブラッスリー
フランスにそれがあるように、朝食、ランチ、カフェタイムからディナーまでを日常使いするような食文化を作りたいという久保田オーナーシェフの思いを表現したカフェ&ブラッスリー。
パンを買って、そのままお茶や食事をする人も多い。
4種類のメインディッシュから選ぶランチメニュー
平日のみのランチは、4種類のメインディッシュから選び、
パンとドリンクが付く。(1,300円~1,400円)
写真は「カジキマグログリエ ぬるっぱ(オカワカメ)ソース タプナードソース」。
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店名
ブーランジュリ ア トン コテa ton cote
- TEL 011-215-1191
- 住所 北海道札幌市中央区大通東3丁目1-1 トルチュビル1F
- アクセス 地下鉄東西線バスセンター前駅徒歩2分
- 駐車場 なし
- 営業時間 9:00~19:00(4月~12月の土・日曜、祝日8:00~)、定休日前~17:00
- 定休日 月曜(祝日の場合営業、翌火曜休)、ほか不定休あり
- カード 不可
- 席数 なし
- URL https://www.facebook.com/boulangerieatoncote/
パンコーディネーター(日本パンコーディネーター協会認定パンコーディネーターアドバンス)
“パンと人を繋ぐ”をテーマにパンと共にあるライフスタイルを提案。
パンイベントの企画・コーディネート、ベーカリーアドバイザーとして活動の場を広げる。
パンとその背景にある様々を取材し、専門誌・テレビ・ラジオ・雑誌などの媒体でパン情報を発信。
消費者向けパン講座「もっとおいしいパン生活」「森まゆみのおいしいパン案内」講師
(株)パンニュース社(東京)ライター。
パンに関するコラムの執筆、講演。