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【たすけてドクター】031. 子どもができないときの治療法は?

2018年8月1日

子どもができないときの治療法は?

Q.  結婚して5年目ですが、子供ができません。病院へ行こうと思ったこともあるのですが…。 どんな治療をするのですか?
(30歳・パート)

A. 不妊症は産科の中でも非常に大切な分野です。いろいろ検査をしたり、妊娠が成立するまでしなければならないことがけっこうあり(もっとも検査をしただけですぐできてしまうラッキーな方もいますが)、それなりの道具や施設も必要なので、最近は不妊症を重点的に扱っている専門のクリニックや外来ができています。私は不妊症の専門家ではありませんので、今回は大体のことを書きます。

 さて不妊症とは、2年間避妊をしない性交渉があるにもかかわらず妊娠が成立しない場合をいいます。なぜ2年間かというと、その間に90%のカップルが妊娠するからなんですネ。

 妊娠に至るまでには本当にいろいろな過程があり、すべてのことが分かっているわけではないので、検査では何も異常がないのになかなか妊娠しないこともあります。まず女性側の因子としては卵の問題があります。排卵の確認が必要ですが、これには「011.基礎体温のつけかたって?」でもお話しをした基礎体温の測定が重要です。

 排卵の有無だけでなく、排卵日がいつ頃か、黄体機能不全はないのかなど、重要な情報が得られます。どのような時期にどのような検査あるいは治療をするかということを考えるうえでも、基礎体温は不妊症治療のタイムテーブルのような大切な役目をします。

 また高温の期間が3週間以上続けば妊娠の可能性が大きくなるので"ゴール"も分かります。卵を入れている卵胞の発育や、確かに排卵したかどうかの確認(卵胞の消失によってわかる)では経膣的超音波(エコー)検査も必要です。おなかから見る超音波では腸の中にあるガスでエコーが散らされてしまい、はっきりとした像が得られないのです。

 また、血液を採って排卵を起こさせる背景となっているホルモンの値を調べます。この調べ方もいろいろありますが、結果によって飲み薬で排卵を起こさせたり注射を用いたりします。注射は何日間か連続して行うことが多く、卵胞の大きさも適宜測定するので、仕事を持っていて限られた曜日しか来院できない方にはチョット難しいかもしれません。

 排卵はあっても卵管が詰まっていては正常な妊娠はできません。卵は卵巣からおなかの中にいったん出されたあと卵管の中に吸い上げられて、その後精子と出会い受精するわけですから、卵管が詰まっていたり卵管の吸い上げ口の回りが癒着してくっついていたりすると、卵が卵管の中に入ることができず妊娠は成立しません。この卵管の詰まりや周囲の癒着はここで炎症が起きることが原因なのですが、その大きな原因はクラミジアの感染です。

 クラミジアに感染していると、仮に妊娠しても子宮外妊娠に終わることが、感染していない人に比べて多くなります。子宮外妊娠では卵管を取ってしまわなければならないことも多く、そうすると残ったもう1本の卵管だけで"勝負"ということになりますが、その卵管も詰まっていればそれでアウトです。

 この詰まりや周囲の癒着を見る検査が卵管造影検査で、造影剤を子宮膣内から卵管を通して腹腔内へキチンと出されるかを、エックス線写真を撮って判断します。検査の時期は、生理が始まってから10日以内です。この範囲ですと排卵している可能性が少ないからです。「卵管も詰まっていればそれでアウトです」と言いましたが、この検査で詰まっていた、あるいは通りの悪かった卵管が通ってしまい、検査後まもなく妊娠することがあります。最初に述べた「ラッキーな方」とはこういう意味です。

 卵管の周囲の癒着では子宮内膜症も大きな原因の1つですが、これについては今までの号で何度か書きましたので省略します。

 さて男性側の因子として精子の検査ですが、精子の数、運動率や前進運動をする精子の割合、精子の奇形率などが問題となります。

 条件が悪ければ元気な精子だけを集めて用いることができますが、ある程度の専門施設でなければ無理でしょう。その他の男性不妊については泌尿器科の担当なのですが、北海道ではあまりないかもしれません。

poroco本誌過去掲載分から一部抜粋で掲載しています。

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