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【たすけてドクター】074. 生理前後に気持ちが不安定になるのはなぜ?
2018年8月1日

生理前後に気持ちが不安定になるのはなぜ?

Q.  生理にともなう精神状態の変化が気になります。なぜ生理前後は精神が不安定になるのでしょう? その対処法が知りたいです。
(26歳・会社員)
 生理前後から排卵日前後まで、無気力感と排卵痛に悩んでいます(もちろん毎月です)。仕事や家事も億劫になり日常生活にも支障を感じます。漢方薬でおすすめがありましたら教えてください!
(33歳・パート)

A. 生理に関わる体や精神の不調に悩んでいる方は多いと思います。生理痛やそれに関係する子宮内膜症、月経前緊張症についてはこれまでたびたび取り上げてきましたので(「Q17.生理前の体調不良をなくしたい」「Q41.なぜ生理前から体調が悪くなるの?」参照)、今回は少々違う観点からお話ししましょう。  

 なぜ生理の時にいろいろな症状が出るのかは、さまざまな説がありますが、まだはっきりとはわかっていません。生理前には黄体ホルモンが多めに出るので、少なくともこのことが関係しているとは言えますが、これだけでは全ての説明はつきません。

 生理は子宮が“一人で”おこなっているわけではなく、卵巣と脳が関係しているのです。その流れとして、まず脳から卵巣を刺激するホルモンが出されます。すなわち脳が卵巣に「命令」する訳ですネ。そしてその命令を受け、卵巣はまた別のホルモン(女性ホルモン)を出します。このホルモンにより子宮の内膜が厚くなるのですが、ホルモンの値が下がると厚くなった内膜が剥がれ落ちて出血となり、体外に排出されます。これが生理です。

 この時プロスタグランジンという物質が作られ子宮を収縮させるのですが、これは発痛物質でもあるので生理痛の原因となります。鎮痛剤は、このプロスタグランジンを作るのを抑える作用があるのです。  

 内膜が厚くなるのは、受精卵が着床して母体とつながり妊娠が継続していくための場所を提供している訳です。フワフワしたベッドの上で赤チャンを育てている、と思ってください。この受精卵がやって来ないと(つまり妊娠が成立しないと)、内膜というベッドは必要がなくなるので剥がれ落ち、また作り直して受精卵が来るのを待つ、これが生理のサイクルということになります。つまり女性の体は、常に妊娠に対してスタンバイしているのです。これを初潮後35年から40年もの間、毎月繰り返しているのですから大変なことです。  

 というわけで、女性の体のサイクルには脳が重要な働きをしていて、卵巣や子宮に対する“司令塔”になっています。この司令塔は脳の“下垂体”という部分で、卵巣を刺激するホルモンを含め重要なホルモンをたくさん作っています。ところが、この下垂体のさらに上に“視床下部”という指令をだす所があり、下垂体を刺激するホルモンを作っているのです。視床下部は感情を司る中枢から影響を受けやすく、ストレスを感じると生理が乱れることがあります。  

 脳(視床下部→下垂体)→卵巣→子宮という指令の流れができていますが、卵巣から出された女性ホルモンの量が脳で検知され、脳から出されるホルモン量を調節するという下から上への流れもあります。これをフィードバックといいますが、この時に脳内の神経伝達物質も関係してくることが最近わかってきました。神経伝達物質は自律神経や感情に影響を与えますから、生理前後の心身状態の変化はこれが原因の一つではないか、と考えられています。

 生理前後の不快な症状は、質問にもあるとおり多岐に渡ります。しかし、それらの症状を一剤で一気に治してしまう特効薬は残念ながらありません。それぞれの症状に対して対症療法的に薬を考えることが多く、そのため種類も多くなりがちですが、最近は「低用量ピル」が用いられるようになってきました。ホルモン量が少ないので、生理にまつわる症状が和らぎますが、効き方には多少個人差があります。  

 漢方薬は比較的少ない種類で、いろいろな症状に対応することができますが、生理のない時も毎日飲み続けなければなりませんし、効き目もすぐには出てこないことがあります。薬の選定が悪ければ、いつまで飲んでも効いてこない場合も考えられます。しかし、治る時には根本的に治ってしまい、漢方薬を飲まなくても症状が出なくなるか、出ても軽度に終わります。  

 ひとつだけ例をお話しますと、34才の女性で、月経不順、月経困難症、月経前症候群、冷え性を主訴に来院された方に、温清飲(ウンセイイン)と四苓湯(しれいとう)を処方し、生理が順調になり月経に関する症状がなくなったことがあります。この方には5カ月ほど飲んで頂きました。漢方薬はたくさん種類があるので、どの漢方が処方されるかは患者さんを診察して、体質その他を判断しないと決められません。漢方を扱っている薬局か病院、クリニックに行って相談されるといいでしょう。

poroco本誌過去掲載分から一部抜粋で掲載しています。

 

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