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【たすけてドクター】041. なぜ生理前から体調が悪くなるの?

2018年8月1日

なぜ生理前から体調が悪くなるの?

Q. 生理1~2週間前から体調が悪くなるような感じがします。治す方法はあるのですか?
(26歳・会社員)

A.  生理前から具合が悪くなるのを経験されている方は多いと思います。症状の出ている時期は様々で、排卵期の頃すなわち生理開始の2週間前ぐらいから生理前日までと個人差はありますが、特に1週間から10日前という方が多いようです。

 大体の人は生理が始まるとよくなりますが、まれに生理終了まで続く場合もあります。これを「月経前緊張症」あるいは「月経前症候群」、略してPMS(Premenstrual-syndrome)といいます。今まであまり認識されてこなかった病気ですネ。ですから、"これが決め手だ"という治療方法は残念ながらありません。

 症状も色々あります。身体症状としてはむくみや頭痛が代表的ですが、眠い、だるい、食欲が変化する、甘いものや塩辛いものが無性に欲しくなる、ニキビやじんま疹など皮膚症状が増える、便秘になる(たまに下痢になる人もいます)などでしょうか。精神症状では、イライラしたり落ち込んだりすることが多いのですが、注意力が散漫になって仕事のミスが増え、それがまたイライラの原因になる場合があります。

 PMSの原因はまだよくわかっていませんので、いろいろな説があります。黄体期に出る症状ですから、黄体ホルモンが関係しているのは間違いのないところでしょうが、卵胞ホルモンも含めて女性ホルモンはいろいろな神経伝達物質の量や働きに影響を与えていることが分かってきつつあります。

 この神経伝達物質というのは神経の信号を伝える化学物質でたくさんの種類がありますが、特にセロトニンという物質が大きく関係しているようです。このセロトニンは少なくなるとうつ状態になるのですが、現在ではこの減少を防ぐ薬が開発され抑うつ症状の改善に用いられています。

 また一卵性双生児では症状の一致率が高いとか、お母さんがPMSを経験していると娘さんにも出やすいということがあり、遺伝的要因もあるといわれています。その他、栄養障害説(ビタミンB6やカルシウムで症状が軽減する場合があります)やアレルギー説もあります。

 また、症状が出る背景には、神経質な人に多い、ライフイベントとして家庭の不和を経験している場合が多いなど、様々なことが報告されています。結局、原因がはっきりしないので"なんでもアリ"の世界なんですネ。ただしPMSの人は全て神経質で、家庭の問題を抱えているというわけではありませんので念のため。

 さて、肝心の治療についてですが、一般的に行われているのは対象療法です。痛みには鎮痛薬、むくみには利尿剤、精神症状には向精神薬ということになります。

 また漢方薬もあり、よく使われるのは当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン)で、むくみに効く生薬も入っています。PMSの症状の強い方で生理前に"暴れる"人がいますが、この場合には桃核承気湯(トウカクジョウキトウ)を処方します。

 漢方薬には「証」といって患者さん1人ひとりに対する独自の見方があり、それに従って方剤を考えるので、結局どのような漢方薬を出すのかは患者さんを見ないと決められないことが多いのです。

 普通、対象療法ですと出た症状を抑えるだけですので、根本的な治療にはなっていませんが、漢方は対象療法を用いる場合もありますが、薬をやめても症状が出なくなることもありますネ。

 あとは、毎日の生活が重要です。バランスのとれた食事をする、朝食は抜かない、適度な運動をする、十分な睡眠をとる、リラクゼーションでストレスを発散するなど、当たり前のようですがこれらはPMS撤退の第一歩なのです。ただ薬を飲むだけではなく、アロマセラピーやリフレクソロジーなどを取り入れ、多方面からアプローチすることが大切でしょう。

poroco本誌過去掲載分から一部抜粋で掲載しています。

 

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