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【たすけてドクター】104.女性疾患があってもサプリメントは飲んでもいいの?
2018年8月1日

女性疾患があってもサプリメントは飲んでもいいの?

Q. 病院で「多のう胞性卵巣」と診断されたのですが、3カ月に1度でも生理が来ているのなら、今すぐ治療する必要はないとのことでした。そこで、ホルモンバランスを調えると話題のサプリメント(大豆イソフラボンやザクロ)を飲みたいのですが、サプリメントの注意書きに「女性疾患をお持ちの方は医師に相談しましょう」と書いてあり、怖くて手を出せずにいます。
(28歳・会社員)

A. 「多のう胞性卵巣症候群」については以前にも書きましたが(※)、もう1度簡単にお話しますと、男性ホルモンから女性ホルモンへの変換がうまくなされず、男性ホルモンがたまり、過剰になることで、無月経や月経不順になってしまう病気です。そのほかの症状としては、太ってくる、毛深くなるなどがあります。赤ちゃんがすぐに欲しいときは、排卵を起こさせるお薬(飲み薬や注射があります)を用いますが、そうでない場合にはピルを使い、表向きは生理のような出血を起こさせます。ご質問の方は、間隔は空いているものの一応自力で生理が来ているようですので、そのまま様子を見ましょう、ということになったのでしょう。
  さて、ご質問にある摂取したいというサプリメントに関してですが、これは「植物エストロゲン」(「エストロゲン」は別名“卵胞ホルモン”と言い、女性ホルモンの1種です)というものです。これは、植物中にある成分で、女性ホルモンそのものではないのですが、化学構造が似ているためホルモンのような働きをします。その代表が大豆イソフラボンです。「イソフラボン」ってチョット変な名前ですが、私にとっては懐かしい名前なのです。農学部に在籍していた学生時代の講議を思い出し、これについてお話したいと思います。
  イソフラボンは、大きく分けるとポリフェノールの仲間になります。ポリフェノールはタンニン、リグナン、フラボノイドなど8つのグループに分かれるのですが、さらにフラボノイドは化学構造上の違いによって、フラバン、フラボン、フラボノン、フラボノール、フラボノノール、イソフラボノイド、…フーッ、フラボだらけでフラフラになってしまいますが、全部で11のグループに分かれるのです。ちなみにお茶で有名なカテキンはこのグループの1つです。このイソフラボノイドも数種類ありますが、その中にイソフラボンがあります(やっと辿り着きました!)。
  イソフラボンという名前はある単一の物質を指すわけではなく、たくさんの化合物の総称なのですが、臨床上重要なのはその中に含まれている「ダイゼイン」と「ゲニステイン」という物質です。文献を調べたところ、この2つを飲んでもらい症状の変化の有無を見たものが多いようです。ガンに良いとか、骨粗鬆症の予防になる、コレステロールを下げるなどいろいろな研究がありますが、この2つが入った“植物エストロゲン”はエストロゲンのような作用を示したり、逆に通常のエストロゲンの働きを邪魔したりする場合もあるので、まだまだ研究の余地があります。
エストロゲンは、血液により作用する組織まで運ばれ、そこにある細胞に働きかけます。この細胞の表面にエストロゲンレセプターというエストロゲンを受け取るものがついていて、エストロゲンがレセプターにつくとホルモンが出てくる仕組みなのです。エストロゲンを鍵とすればレセプターは鍵穴ですネ。植物エストロゲンは構造が似ているので、いわば“ニセ鍵”なのですが鍵穴には入ってしまいます。しかし本物の鍵ではないため、ホルモン作用を十分に発揮できず作用としては弱くなってしまうのです。さらに、まだエストロゲンが分泌されている人の場合(つまり閉経前ということですが)、本来のエストロゲンと“ニセ鍵”の植物エストロゲンが鍵穴の取り合いをしてしまい(このことを“拮抗する”と言います)、正しいエストロゲン作用にブレーキをかけてしまうこともあります。ですから、効果の程は一概には言えないのですが、更年期に対しては肯定的な研究が多いようです。
  ご質問の「多のう胞性卵巣症候群」にイソフラボンが効くという報告は、残念ながらまだないようです。大豆食品で月経周期が長くなるという報告(といっても平均で3日程度ですが)も複数ありますので、月経に関して影響を与えるのは、程度は別としても確かなようです。
  大豆はバランスの取れた栄養食品です。まぁ食事をする中で、豆腐や納豆、豆乳、きな粉など大豆由来の食品がたくさんありますし、日常生活の中でも先ほど挙げたゲニステインで1日平均20~80mgを摂取しているそうですので、それらを普通に食べていればサプリメントを飲まなくても良いのではないでしょうか。

※「088.多のう胞性卵巣症候群と診断されました」参照

poroco本誌過去掲載分から一部抜粋で掲載しています。

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