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【たすけてドクター】047. ドライアイの治療法を知りたい!

2018年8月1日

ドライアイの治療法を知りたい!

Q. 「ドライアイ」についての治療法を詳しく知りたい! パソコンを使っての仕事なので、どうしても目が乾燥してしまいつらいです。なにかよい方法はないのでしょうか? 眼科の専門医には「目薬を頻繁に使用すること」としか言われません。
(22歳・会社員)※ほか同様のお便り多数

A. ドライアイは文字通り、目(の表面)が乾くために角膜が障害を起こしやすくなる病気です。目を酷使する現代ならではの病気で、一説には全国にドライアイでお悩みの方は約800万人いると言われていますね。このドライアイの前に、まず涙についてお話しましょう。

 涙は角膜を被っている薄い液体の膜で、瞬きをする時の潤滑油的な働きをしています。細かくいうと表面から油層・水層・粘液層の3つの層に分けられているのですね。それぞれの役割としては…

1)油層

涙の蒸発を防ぐためにあり、上下の瞼(まぶた)にあるマイボーム腺というところから分泌されています。

 

2)水層

涙の本体で、上の瞼にある涙腺から出されており、角膜と結膜に必要な栄養分を供給しています。さらにバイ菌などの感染を防ぐための免疫物質も含んでいるので、水層は重要な役割を担っています。

 

3)粘液層

結膜にある杯細胞から分泌され、涙をうまく眼の表面に乗せ、広く行き渡らせる働きがあります。

 

この3つの液体がキチンと働くことにより、涙の機能が正常に保てるのです。

 涙は、瞬きをすると分泌がおこり、目の表面に分布して目を保護します。そして一部は眼の表面から蒸発し、残りは涙点を通り鼻の方に抜けていきます。

 ドライアイの原因がこの3層構造における異常であると考えた場合…

1)油層の異常では、マイボーム腺の機能がうまくいかない。眼瞼縁の炎症により油層の分泌が減少し、涙が蒸発しやすくなる。

2)水層の異常では、涙腺がシェーグレン症候群のような自己免疫疾患(※)で自分の抗体に攻撃されてしまい、分泌機能が落ちてしまう。

3)粘液層の異常では、炎症で結膜の杯細胞が障害され、粘液が少なくなり、涙が乗らない部分ができて角膜が障害されやすくなる。といったことが考えられます。

 その他にはまばたきの回数が減り、目が乾きやすくなることが大きな問題です。御質問の方々のようにパソコンの画面を見つめていると、どうしても画面を凝視してしまい、まばたきの回数が25%ほど減ってしまいます。当然、涙の分泌量は減り、また蒸発量は増えるのでドライアイになりやすくなります。

 予防のためには、上目使いで画面を見ると目を見開きがちになり、空気に接触する面積が大きくなって乾燥が進むので、画面を下の方に置くのがよいでしょう。また、室内の湿度の調節や、エアコンなどの風が直接当たらないようにする工夫も必要です。可能であればパソコンに向かう時間を少なくする、時々目を休める、意識的に瞬きをするということも大切です。

 ドライアイになってしまった時は、人工涙液の点眼がありますし、粘液層が問題の場合にはヒアルロン酸を点眼します。マイボーム腺の機能異常の時は眼瞼縁の洗浄や温熱療法があります。

 ドライアイの方の場合、目が疲れる、コンタクトレンズが長い間使えない、といった一見ドライアイとは関係無さそうな症状を訴える方が多いので、目の不調を感じた時は眼科を受診された方がよろしいでしょう。

(※)
「自己免疫疾患」→ 外から進入する病原体を防ぐ役割をする"免疫"が、誤って自分の体を傷つけてしまうこと。
「シェーグレン症候群」→自己免疫疾患の働きにより、特に涙腺や唾液腺を攻撃するので、涙やつばが出にくくなる。

poroco本誌過去掲載分から一部抜粋で掲載しています。

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