さっぽろカフェ連載(44)/緑月
山間にひっそりと佇む一軒家
札幌から車で1時間足らず、三笠市の山深い森に寄り添うように「緑月」はある。
市街地から山道を車で進めていると突然現れる、一切の無駄を削ぎ落としたシンプルな建築。
周囲はざわざわと木々が心地よい音を立て、野鳥がにぎやかに飛び交う。吹き抜ける風のなんと心地いいこと。
夏を告げる蝉の声に、「ああ、なんて素敵な場所なんだろう」と思った。
まるで森の中にいるように癒されて
「緑月」は、木工作家として活躍されている、内田悠さんの工房に併設するカフェ&ギャラリー。
靴を脱いでおじゃますると、室内にいるのになんだか森の中にいるような、清々しい気持ちにさせられる。
大きく取られた窓からの眺望や、高い天井はもとより、木を多用した空間は、まるで建物そのものが大らかに呼吸しているようで印象的だった。
店内は緩やかにギャラリーとカフェにわかれていて、ギャラリーには内田さんによる作品のほか、彼と親交のある全国各地の作家の器や雑貨が並ぶ。北海道ではなかなかお目にかかれないものも多く、手に取って直接見られるのもうれしい。
やわらかな木の手ざわりに触れながら、贅沢なカフェ時間
初めて内田さんの作品と出合ったのは、もう随分と前のことになる。
気を衒わないデザイン、さらさらとしてシルクのようになめらかな手触り、素材ごとに異なる木目や風合い。ネガティブなイメージになりがちな木の節でさえ、個性ある表情として美しい存在感を放っていた。
「木=ほっこり」のような安易なイメージは簡単に覆され、使い手の想像次第であらゆるものに見立てて楽しめる、汎用性にも新鮮な驚きがあった。
器のほかオーダー家具も手がけており、「椅子の座り心地も、時間をかけてじっくり確かめてほしい」と、実際にそれらを試すことができるショールームとしての役割も「緑月」にはあるそうだ。
素朴で繊細なお菓子の数々
提供しているスイーツは、ナッツの香ばしさとリッチな生地が相性のいい「アーミッシュブラウンケーキ」、季節のフルーツを焼き込んだタルトや、ほろ苦いプリンなど。
レシピを手掛けるのは、代々木上原「MAISON CINQUANTECINQ」 をはじめ、人気の飲食店を展開するシェフの丸山智博さんだ。
内田さんの作品同様、こちらもシンプルでありながら、洗練された本物の味わいが並ぶ。
ほっと心和むハウスブレンドとも相性がよく、ついあれこれと注文してしまった。
ちなみに、お隣の工房内には入ることができないが、タイミングによっては小窓から作業する様子を垣間見られることもある。
当たり前ながらその作品が、人の手によって生み出されることを改めて実感し、たったいま手に取った器や身を委ねた家具が、いっそう愛おしく思えてくるのは、きっと私だけではないはずだ。
※記載価格はすべて税込です。
※掲載情報は取材時点のものです。施設内容やメニューなどは変更になる場合があります。
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店名
ミツキ緑月
- TEL なし
- 住所 北海道三笠市川内839
- アクセス JR峰延駅より車で約4分
- 駐車場 15台
- 営業時間 11:00〜17:00
- 定休日 日〜火曜
- 席数 14席/禁煙
- 子供の利用 OK
- URL https://www.instagram.com/gallery_mitsuki/