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【たすけてドクター】046. ところかまわず眠気がくる…。これって病気?
2018年8月1日

ところかまわず眠気がくる…。これって病気?

Q. 中学生の頃からの悩みで、病気かどうかわからないのですが、とにかくいつも頭がボーっとして眠たいのです。座っている時はもちろん、立っている時や忙しい時、大事な時でも所かまわず眠ってしまいます。人と会話をしている最中に"ガクッ"となってしまうことも…。だんだん眠くなるというよりは、直前まで何ともないのに急に意識が無くなってしまうということもよくあります。しかし就寝中は深く寝付けず、ひどい時は1時間おきに目が覚めてしまいます。若い頃よりはましになっていますが、頭がすっきりせずつらいです。改善するための良い方法はあるのでしょうか?
(32歳・会社員)

A. お話からしますと「ナルコレプシー」が考えられます。「ナルコ」は"昏迷"とか"麻酔" 、「レプシー」は"発作"という意味で、ちょうど御質問の方のように、ガクッと眠くなる病気なのですネ。

 私が農学部の学生だった時に、このナルコレプシーの後輩がいました。工場の見学に行った時のこと、会社の方が説明会場でお話をしてくれていたのですが、後輩の彼は最前列にいるにもかかわらず机に覆いかぶさるようにしてグーグー寝ているのです。引率の先生はヒヤヒヤしていたようですが、彼はケロッとしたものでした。彼はそれ以来、時代劇で有名な「眠狂四郎」の異名をとるようになりました。しかし、これは病気なのですから仕方がないのです。

 

 このように意志によってコントロールできないほど猛烈な睡魔に突然襲われ、時と場所を問わず寝てしまう、というのがナルコレプシーの主症状です。症状はこれだけではなく「情動脱力発作」といって、うれしい時や驚いた時など感情が動いたことをきっかけにして、顔や首、手足の力が急に抜けてしまうことがあります。この場合は意識はしっかりしています。

 さらに3つ目の症状として、寝て間もなく実際に体験しているかのような生々しい夢を見る「入眠時幻覚」や「睡眠麻痺」(俗にいう“金縛り”)があります。この夢は恐ろしい内容であることが多く、誰かに襲われたり気持ちの悪い化け物が出てきたりします。当然、不安感や恐怖感にかられますが、手足が麻痺して動かず、声も出せない状態になるのですネ。この夢は余りにも鮮明で、目がさめてもはっきりと覚えているために、長い間続くと夢と現実の区別がつかなくなることもあるようです。

 そして4つ目は“夜にはグッスリ眠れない”ことです。寝つきはいいのですが、目がさめやすく熟眠感がありません。御質問の方と同じ症状ですネ。

 あとは「自動症」があります。無意識にいろいろなことをしてしまい、あとになって「なんでこんなことしたんだろう」と不思議に思います。夢遊病のようなもので、起きているようでも実は“浅く眠っている”のです。全然行き先の違う電車に乗っていたり、気付いてみると記憶にない食べ物のカラが周りに散らかっていたりするわけですから、これも事情を知らなければギョッとする話です。

 ナルコレプシーはあまり知られていない病気ですが、欧米人よりも日本人に多く見られ、有病率は600人に1人といわれています。発症は若い人に多く、ピークは14歳~16歳です。普通は発症時に症状が強く、年数が経つにつれて軽くなっていくようです。

 残念ながら原因はよくわかっていません。ページに限りがあるので詳しく説明することはできませんが、睡眠に入っていく場合の段階(睡眠時の脳波の状態と目の動き方からいくつかの睡眠段階に分かれます)の取り方が、正常な人とナルコレプシーの人とでは違いがあり、ナルコレプシーの人は深い段階まであまり落ちていきません。発症のきっかけは“ストレス”といわれていますが、全てには当てはまりませんし、“遺伝”の関与もいわれていますがはっきりしません。

 根本的治療はないのですが、症状を軽減する薬はあります。根気よく治療を続けることによって普通の社会生活を送ることは可能になります。診療科としては、精神神経科や神経内科が専門ですが、睡眠障害を扱っている専門のクリニックが理想でしょう。

 ナルコレプシーの人が「たるんでいる」とか「だらしがない」とか周囲から非難を浴びる可能性のあることは、かわいそうなことです。周囲の人はこのような病気があることを知り、患者さんがいたら非難をせず、いたわってあげることが必要です。

poroco本誌過去掲載分から一部抜粋で掲載しています。

 

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