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【たすけてドクター】156. 子宮筋腫は、いずれ手術が必要なの?

2018年8月1日

子宮筋腫は、いずれ手術が必要なの?

Q.  検査を受けたところ1cm程度の子宮筋腫が見つかりました。医師には「心配ない」と言われましたが、このまま筋腫が大きくなった場合、手術をするのでしょうか? また、ほかにどのような治療法がありますか。 
(35歳・女性)

筋腫は良性なのでガンへの転化は心配なし
 子宮筋腫(以下「筋腫」と省略)についてのご質問ですが、これは婦人科ではよく見られ、35歳以上の女性の二人に一人は筋腫を持っていると言われています。子宮は「平滑筋」という筋肉で構成されていますが、この一部が腫瘍化してこぶ型に膨れ上がるものが筋腫です。腫瘍といっても良性なので、ガンに転化することはありません。検査後に「筋腫がありますネ」と言うと、腰を抜かすほど驚く患者さんもおられますが、筋腫は大きな病気ではありませんので心配はいりません。筋腫は女性ホルモンの影響で大きくなることから、生理があるうちは増大する可能性がありますが、年数が経ってもさほど変わらない場合もあって個人差が大きいのです。閉経を迎えると女性ホルモンの分泌が低下するので、縮小の方向に向かいます。ただしモノによってはほとんど縮小しないこともありますし、小さくなっても完全に消失してしまうことはありません。

筋腫による症状は人によって異なる
 筋腫は位置によって、様々に分類されます。子宮の外に飛び出るように発育する場合は「漿膜下筋腫」(子宮の外側が「漿膜」という薄い膜で覆われているから)、子宮の筋肉の中で大きくなるものは「筋層内筋腫」、子宮内膜の側にあるタイプは「粘膜下筋腫」といい、特殊なものとして「筋腫分娩」があります。これは筋腫のこぶが子宮の中から膣に脱出しているもので、子宮の中の筋層とそのこぶが細い茎でつながっています(この茎も筋肉です)。例としてはよくないかもしれませんが、怪談に出てくる「ろくろ首」の首がこの茎にあたり、頭が筋腫のこぶに該当する訳ですネ。何も症状が出ないこともありますし、「生理の量が多くなる」「生理痛が強くなる」などの症状や、まれに筋腫自体に痛みが出てくる場合もあります。筋腫がある程度大きくなると、子宮の下にある膀胱が圧迫されて尿が近くなったり、大きくなりすぎると下腹部が出てくることも。生理の量が多くなるのは「粘膜下筋腫」に多く、小さな筋腫でも過多月経をきたして鉄欠乏性貧血になることがあります。

症状がなければ経過観察
 一般的な治療は手術になります。昔は「子宮の大きさが“握りこぶし大”であれば(鶏卵ぐらいが正常な大きさ)手術適応」と言われておりました。現在では、医師によって若干の相違はあると思いますが、筋腫があっても症状が何もなければ経過観察になります。過多月経があって貧血がひどいときや痛みが強いときは、筋腫の大きさに関わらず手術を考えることもありますね。手術には子宮をすべて取る「全摘術」とこぶの部分をくり抜く「核出術」がありますが、手術が適応かどうかを含め、年齢や今後の妊娠の希望の有無などで選択が変わってきます。なお全摘術にはお腹を開けて行なう「腹式」と膣の方から行なう「膣式」があって、後者はお腹に傷がつきません。最近はお腹に小さな穴を2~3ヵ所開けて腹腔鏡を入れ、マジックハンドのような長い鉗子で行なう形式が増えてきました。これだと傷もほとんど目立ちませんし、入院期間も短くてすみます。

「収束超音波治療」「子宮動脈塞栓術」などの方法も
 手術以外の方法ですと「収束超音波治療」といって、超音波で筋腫を焼いてしまうものや、子宮を栄養している動脈を詰めもので塞いでしまい、血流を遮断して筋腫を萎縮させる「子宮動脈塞栓術」があります。現在のところは施術できる施設が限られていますし、それぞれ長所と短所があります。また女性ホルモンを薬で止めて筋腫の萎縮をはかる方法もありますが、長くても6ヵ月しか使えませんので効果は一時的です。ただし、手術操作を容易にするためにこのような薬を使って、手術前に筋腫を小さくしておくことはありますね。いずれにせよ筋腫がある場合は、今後の方針を主治医の先生とよく話し合うことが大切。質問者の場合、筋腫の位置はわかりませんが1cmという大きさですから、経過観察でよろしいと思います。

poroco本誌過去掲載分から一部抜粋で掲載しています。

 

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