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【たすけてドクター】164. 貧血の疑いがある場合は、ガンや筋腫の検査を受けたほうがいいの?

2018年8月1日

貧血の疑いがある場合は、ガンや筋腫の検査を受けたほうがいいの?

献血に行ったら、2回連続して「血が薄いため献血できません」と断られました。2回とも生理が終わってから一週間くらいでした。数値がかなり低いらしく、自覚症状があれば病院に行くように言われたのですが、そのときもらった冊子に、貧血の一つの原因として「子宮ガン」について書かれてありました。最近、生理痛も出血も以前よりひどいのですが、日常生活に支障があるほどではありません。一応、ガンや筋腫の検診を受けたほうがいいのでしょうか?
(24歳・女性)

A.

ひどい貧血の場合は精密検査が必要

 献血時の検査で貧血を指摘されたとのことですが、ひどい貧血であれば自覚症状の有無にかかわらず、精密検査を勧められるはずですので、実際にはそれほど低くなかったのではないかと思います。

  貧血の程度を見るにはいろいろな指標がありますが、普通はヘモグロビンという赤血球に含まれる鉄を含んだ色素の濃度で見ます(単位はg/dl)。値としては11台はボーダー、12あれば全く問題ありません。個人差はありますが、9を切ると体につらい感じがでてくることが多いでしょう(しかし10台でも体がシンドイという方もおられます)。

  ただ、徐々に貧血が進行している場合には、かなり低くても元気なこともあります。体がその貧血状態に慣れてしまうのでしょうネ。私が外来で以前に診た患者さんは、ヘモグロビンがわずか3しかありませんでしたが、毎朝犬の散歩に行っているとのお話で、ビックリ仰天したことがあります。普通の人(つまりヘモグロビンが11~12以上ある)が、いきなり3に落ちると、歩くどころか上体を起こしていることすらできなくなると思いますが、その方の行動は全く普通に見えました。ただ顔色はチョークの粉のように真っ白でしたが……。

  ちょっと話がそれてしまいましたが、貧血にもその原因によっていろいろな種類があります。閉経前の女性に通常見られるのは鉄欠乏性貧血ですが、これは生理あるいは不正出血によって血液が失われ、その中の鉄分が喪失するために生じるものです。

  結局は食事で摂取する鉄分と生理で失われる量との綱引きになるのですが、過多月経などで多量に出血してひどい貧血になると、食事のみで鉄分を補うのは難しいのです。回復途中でまた次の生理がやって来ますから、いつまでたっても正常値に戻らないことになります。その時には注射か飲み薬で鉄を補給しますが、飲み薬ですと人によっては吐き気がきたり、便秘をすることが時々あります。そのような場合には通院して、注射していただくしかありません。

 

出血多量の可能性は様々なので、一年に一度検査を受けよう

 さて、その出血多量になる原因ですが、生理の量が多くなるものは子宮筋腫、子宮腺筋症が代表的なものです。子宮体がんの場合には、その前段階である子宮内膜増殖症が生じている時点から生理量が多くなることがあります。ただ、20代の女性にはほとんどありません。もっとも、背景にこのような病気がなくても「ただ多いだけ」ということもあります。

  そのほか、生理が終らずに少量の出血がだらだら続いて、トータルとして出血量が多くなる場合がありますし、生理以外の時期に不正出血がたびたびあり、出血量が生理にプラスされて多くなってしまうこともあります。まれには確かに子宮頚がんも含めて悪性の病気が原因で出血し、長期に渡って貧血になることもあるでしょうが、そこまで病院にかからずに放っておく人はまずいないでしょう。

  出血を介さないで、ガンにより貧血になることはありますが、それは末期の状態で全身状態が悪化して赤血球を作れなくなっている場合です。御質問の方はもちろんこれには当たりません。

  結論として、20代以降の方は、すべからく一年に一度は子宮がん検診と超音波検査などで子宮や卵巣の具合を見てもらう方がよろしいかと思います。

poroco本誌過去掲載分から一部抜粋で掲載しています。

 

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