さっぽろカフェ連載(25)/大地の珈琲
コーヒー好きが集う一軒
お店の裏手にには北海道大学の広大な敷地。国の重要文化財・札幌農学校第二農場もほど近く、四季折々に移ろう景色がいかにも札幌らしいロケーションだ。
「初めは豊平区で物件を探していたのですが、ここを偶然見つけて即決しました。秘密基地のような雰囲気も気に入って」とにこやかに話すのは店主の山下さん。
「大地の珈琲」の常連客は世代も性別もバラバラ。ただ一つの共通点は、みなコーヒーが好きだということ。
初めて訪れたならまずは看板の「大地のブレンドコーヒー」を。ビターテイストでバランスの取れた味わいは、チーズたっぷりのトーストやスイーツとも相性がいい。
プロフェッショナルな一杯に出合う
ほか定番のストレートコーヒー4種類はもちろん、仕入れによって内容が変わる「マスターズセレクション」は目当てに訪れるファンも多い。取材日に出してくれたのはオレンジ色の果実がなるという珍しい豆。ジューシーで華があり、さわやかな風味がするりと喉を通る一杯だった。
とはいえメニューには味わいのチャートが記載されているので、コーヒー初心者の方も安心。好みの味を伝えれば細やかに対応してくれるので気軽に相談を。
常に焙煎したての豆を提供
オープンしたのは1年余り前の11月。
それまで有名店でトータル13年のキャリアを積んだ山下さんは、ブラジルコーヒー鑑定士やQアラビカグレーダー、コーヒーインストラクター1級といった資格も取得。まさにコーヒーのプロフェッショナルだ。
焙煎自体はほぼ独学ながら、きっと一度飲んだらその美味しさに驚く。毎日でも飲みたくなるクリアな味わいは丁寧に豆を選別し、焙煎日から1週間以内の香り豊かな豆にこだわっているからこそ。
テーブル席もいいけれど空いているのならあえてカウンター席に座ってみよう。コーヒー豆に静かに湯が注がれる様子をぼんやりと眺めるのも同店の楽しみの一つだ。
誠実な味わいの数々
場所柄、子どもから高齢の方まで様々に訪れる。
だからこそコーヒーに添えられたビスケットをはじめ、天然酵母を使う「ふわもち邸」のドーナツなど、コーヒーとの相性を両立しながらも「自分が食べたくなるような、体にもやさしいもの」をフードとしてセレクトしているのだそう。
保育園にお迎えがてらほっとひと息つく人、
文庫を片手にカップを傾ける人、
店主とのおしゃべりを楽しみにやって来る馴染みの常連客。
その誰もが自然とお店の空気に溶け込んでいる。
ある日「こちらの豆、お好きだと思いますよ」とさりげなく若いカップルにお勧めをしていた山下さん。二人は異なるコーヒーを注文し、飲みくらべをしながらひそひそとコーヒー談議に花を咲かせている。
ああ、きっとこのようなお店が未来のコーヒーファンを育くんでゆくのだなと、何だかとてもうれしい気持ちになった。
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店名
ダイチノコーヒー大地の珈琲
- TEL 011-769-9080
- 住所 北海道札幌市北区北20条西8丁目1-3
- アクセス 地下鉄南北線北18条駅2番出口より徒歩約9分
- 駐車場 あり/2台・無料
- 営業時間 10:00〜18:00 *LO 17:30
- 定休日 水曜、祝日、ほか不定休あり
- 料金目安 「大地のブレンドコーヒー」500円(税込)
- カード 可/主なものOK
- 席数 8席/全席禁煙
- 子供の利用 OK
- URL https://www.daichicoffee.com/