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【たすけてドクター】057. おならが多くて困っています…。

2018年8月1日

おならが多くて困っています…。

Q. 最近おならが多く、またお腹がパンパンに張ったりします。太ってきたからでしょうか? 食事は特に芋類ばかりを食べているわけではありません。仕事中もいつもおならが出そうで困っています。どうすれば治りますか?
(34歳・パート)

 “オナラ”症で困っています。おならを出さないとお腹が張って気持ちが悪くなります。対処法はないのでしょうか?
(29歳・会社員)

A. 「お腹が張る」というのは誰にでもありますが、それが“おなら”となって人前で出てしまっては困りますよネ。おならは腸内に過剰なガスが溜まることが原因なのですが、この一部は口から飲み込んだ空気で、大半は腸内細菌の働きによって発生したガスです。それでは、今回はこの腸内細菌についてお話をしましょう。

 人間を含め、動物の腸管内にはいろいろな細菌がに常在し、共生関係を維持しています。腸内細菌は年齢や個人差がありますが、大体100種程度、100兆個ほどいるといわれています。人間を構成している細胞は約60兆個ですから、これはものすごい数ですネ。

 この腸内細菌には健康に役立つ「善玉菌」と有害な「悪玉菌」がいます。善玉菌の代表は乳酸菌の一種である「ビフィズス菌」です。ヨーグルトの宣伝などにも使われていますからご存じでしょう。悪玉菌はいろいろとありますが、代表は「ウェルシュ菌」で嫌気性菌の一種です。嫌気性菌というのは文字どおり“空気(酸素)を嫌う”、つまり空気がある所では生きられない菌のこと。沼地の底から泡状の臭いガスが上ってくる現象がありますが、空気のあまりない底の方ではこの嫌気性菌が原因で発酵が進み、ガスが溜まって水面に出て来るわけですネ。

 これと同じことが腸の中で起こります。「悪玉菌」はタンパク質と脂肪が大好きなので、これらを分解してアンモニア、アミン、硫化水素、インドール、スカトールといった腐敗性の物質を作ります。アミンというのはある発ガン物質の元となっていますし、硫化水素やスカトールは、“おなら”のニオイの原因。これらは高タンパク、高脂肪、低食物繊維の食事で増えるので、洋食はほどほどにした方がいいのですネ。また、ストレスでも「悪玉菌」が増えることがアメリカのNASAの研究でわかっています。

 食事とストレスに気をつけるほかにもう1つ。「善玉菌」と「悪玉菌」は簡単にいうと“陣取り合戦”をしているので、善玉が増えれば悪玉は減ります。ですから、善玉の「ビフィズス菌」を増やすことを考えればイイということになります。

 基本的には「ビフィズス菌」を食べればよいので、ヨーグルトやヤクルト(宣伝をするつもりはありませんが…)などの摂取が大切でしょう。ただ「ビフィズス菌」にはいろいろと種類があり、元来その人が持っているビフィズス菌の型が一番定着しやすいので、すでにお腹の中にいるビフィズス菌に好物のエサを与えて増やす、という方法もあります。

 さて、このエサとは「オリゴ糖」を指します。これは口の中や胃にある消化酵素では消化されず、ちゃんと腸まで到達するのです。「オリゴ糖」はゴボウ、玉ねぎ、バナナ、はちみつ、大豆や大豆製品などに含まれていますが、特定保健用食品としてさまざまな種類のオリゴ糖が売られていますので、そちらを利用してもいいでしょう。

 最近の研究では、リンゴに含まれる「ペクチン」が、ある種のオリゴ糖の元になっていて(アラビノオリゴ糖といいます)、これが他のオリゴ糖に比べて特にビフィズス菌の好物らしい、ということがわかりました。

 また、食物繊維も「善玉菌」を増やします。食物繊維は大腸までいくと分解されて、さまざまな酸を作るのですが、「悪玉菌」は酸性の状態が苦手なのです。したがって腸内環境が酸性になると、「悪玉菌」が増えるのを防ぐことができるのです。また、腸内細菌がつくった乳酸は腸のぜん動運動を活発にするので、便秘の予防にもなります。

 「ビフィズス菌」はほかにもビタミンB群やビタミンK、アミノ酸を合成していますし、免疫の増強にも力を貸してくれています。つまり、“ビフィズス菌様様”なのですネ。

poroco本誌過去掲載分から一部抜粋で掲載しています。

 

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