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【たすけてドクター】101.パニック障害について知りたい!

2018年8月1日

パニック障害について知りたい!

Q. 車での通勤途中、急に激しい動悸と吐き気、めまいに襲われ、運転ができなくなりました。このままでは事故に遭うのではないかとの不安から、ますます苦しくなり…。それ以来、同じような状況になると症状が再発します。自分では「パニック障害」に似ていると思うのですが、詳しく教えてほしいです。
(33歳・会社員)

A. 「パニック障害」とは、自分の置かれている現在の状況に対して、強い不安や恐怖に突然襲われることで、動悸や発汗などの身体症状が出るものです。100人に1、2人の割合で発症すると言われており、多くは女性、それも20歳代の発症率が1番高く、その後年齢とともに発症は少なくなり、65歳を過ぎるとほとんど診られません。
  診断方法としては、以下13項目の症状のうち、4つ以上が突然現れ、さらにその10分以内に症状がピークに達した場合を「パニック発作(パニック障害)」と判定します。

(1)動悸や、脈が速くなったり、強く打ったりする 
(2)手のひらに汗をかいたり、冷や汗をかく 
(3)全身、または手足が震える 
(4)息が切れたり、息苦しくなる 
(5)窒息感や喉が詰まった感じがする 
(6)胸の痛みや圧迫感、不快感を感じる 
(7)胃の不調や吐き気をもよおす、または突然下痢になる 
(8)めまい、ふらつき、さらには気が遠くなるような感じがする 
(9)現実感がなく、自分が自分でないような感覚がする 
(10)自分をコントロールできず、気が狂ってしまいそうな恐怖に襲われる 
(11)このままでは死んでしまうのではないか、という恐怖を感じる 
(12)身体の一部がうずいたり、しびれたりする 
(13)身体が火照ったり、寒気を感じる

 このように様々な症状がありますが、多くは、心臓の鼓動が突然速くなったり(そのほか、発汗、震え、胸痛、めまいなど)、息苦しさのために死んでしまいそうな恐怖に襲われます。また、腹痛や便通異常などの消化器系に症状が出るケースもあります。このような症状が1度きりではなく、繰り返し起きる場合を「パニック障害」と認定します。なお、症状の持続時間は長くても1時間を超えることはありません。
  さらにこの「パニック障害」は大きく3つに分かれます。1つ目は基本症状の「パニック発作」で、前述したとおりです。2つ目は「予期不安」です。1度発作を起こすと“また起きるのではないか”「と心配になり、これが続くことで絶えず不安定な精神状態になってしまいます。3つ目は「広場恐怖」と言われるもので、この「広場」とは“急に助けを呼べないような場所”、あるいは“何かが起きたら恥ずかしいような場所”のことを指します。初めて発作を起こした場所を訪れると再発するケースも多く、そのほか地下鉄やバス、電車に加え、スーパーでレジの順番待ちなどでも起こります。こうなると、デパートなどの人込みは避けるようになり、さらに症状が悪化すると家から出られなくなってしまいます。

 原因は脳の中の神経伝達を司る「ノルアドレナリン」と「セロトニン」という、2つの物質のバランスが崩れることによって起こると考えられています。物質的なものによって発症するため、カウンセリングはあまり適用にならず、治療はセロトニンを調整するSSRIというグループの薬剤(数種類があります)投与が中心となります。これは飲み始めてから効果が出るまで約1週間ほどかかるため、最初のうちはベンゾジアゼピン系といわれる抗不安薬や、3環系というグループの抗うつ薬を使用する場合もあります。
  こうしたお薬を使って症状が良くなったように見えても、再発を防ぐためには急に服薬を止めてはいけません。通常は1~2年間飲み続け、その後少しずつ服用量を減らしていきます。

 また薬物療法のほかには、苦手な状況に少しずつ慣れさせる「行動療法」があります。例えば、地下鉄に乗れない人は“まず地下鉄の駅まで行ってみる”、それができたら“地下鉄のホームに降りてみる”、その次は“車両に乗ってみる(すぐに降りても大丈夫です)”、可能であれば“1駅乗車してみる”、というように段階的に行動を進めていきます。上手くいけばそれが自信となり、次のステップへと昇りやすくなります。そのほか「自律訓練法」があります。これは、日頃から上がりっぱなしのテンションを下げ、精神の緊張状態を緩和し、身体をリラックスさせるものです。「自律訓練法」については、関連書籍も多く出版されていますので”独学”も可能です。私もおこなったことがありますが、それほど難しいものではありません。

 パニック発作を引き起こす原因として、カフェインや疲労、ストレスがあります。コーヒーなどを控えるといった日頃の生活管理も大切です。
  最後になりますが、若い方に多い病気のため、お薬を飲みながら妊娠されるケースもあります。妊娠初期はやはりSSRIなどの薬の服用は避けたいので、可能ならば「パニック障害」に効く漢方薬に切り替えます。SSRIを使わなくても症状が改善される例もありますから、漢方の専門医を訪ねてください。

poroco本誌過去掲載分から一部抜粋で掲載しています。

 

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