【たすけてドクター】150. 無月経で悩んでいます。妊娠の可能性、薬の影響は……

無月経で悩んでいます。妊娠の可能性、薬の影響は……
Q. 激ヤセしたこともあり、5年ほど前から生理がこなくなりました。婦人科に3年ほど通院し漢方などの薬を飲みましたが、結果はよくなりませんでした。今は「プレマリン」を20日、「デュファストン」を10日飲み、生理を起こさせている状態です。妊娠を望むときは違う薬に変えると医師から言われているのですが、それはどのような薬で、妊娠はどのくらいの確率で可能なのでしょうか? また、授かった子どもに薬の影響が及ぶことはあるのでしょうか? 激ヤセしたこともあり、5年ほど前から生理がこなくなりました。婦人科に3年ほど通院し漢方などの薬を飲みましたが、結果はよくなりませんでした。今は「プレマリン」を20日、「デュファストン」を10日飲み、生理を起こさせている状態です。妊娠を望むときは違う薬に変えると医師から言われているのですが、それはどのような薬で、妊娠はどのくらいの確率で可能なのでしょうか? また、授かった子どもに薬の影響が及ぶことはあるのでしょうか?
(30歳・会社員)
A.
長期間の無月経は生理が回復しない場合も
無月経ということで、薬で生理を起こしているわけですネ。無月経になった原因は、おそらく急激にやせたことによる「体重減少性無月経」の可能性が高いと思われます。一過性のストレスで一時期生理が止まることは珍しくありませんが、この場合の無月経はそのうち回復することが多いのです。体重減少性の場合は、体重を元に戻せば治ることがありますが、長い間無月経を続けていると(ということは、長い間排卵をしないでいると)、生理が回復しなくなる場合があります。
必要となるのは卵胞、黄体ホルモン
無月経に対して西洋医学がどのように対処しているかというと、質問の中にちょうどその一部が書かれているのですネ。本来、女性の生理はその背景に"妊娠"があります。生理はホルモンの作用によって子宮内膜が厚くなりますが、その内膜は受精卵が着床するためのベッドのようなものですから、ある月経周期で妊娠が成立しなければそのベッドは必要がなくなり、はがれて体外に出されてしまうのです。これが生理の出血となるわけです。この内膜というベッドを作るためには、卵胞ホルモンと黄体ホルモンという2種類の女性ホルモンが必要です。とくに、黄体ホルモンは排卵したあと卵巣に作られる黄体から分泌されますので、言い換えると排卵しなければ黄体ホルモンは出されないことになります。生理が来ないということは、その前段階にある排卵がそもそもなされていないわけですから、黄体ホルモンは出ていないのですが、薬として黄体ホルモンを飲んでもらうと生理が来る場合があるのです。
2パターンの無月経
黄体ホルモンだけで生理が復活する無月経を「第1度無月経」と呼んでいます。これは、もう一つの卵胞ホルモンがちゃんと分泌されているからなので、無月経としては軽い方です。黄体ホルモンを投与しても生理が来ない場合は、卵胞ホルモンの分泌もよくないことになりますので、少し重い無月経になりますが、これを「第2度無月経」といいます。体重減少性無月経に多いパターンです。
薬の影響については心配無用
診療する側としては2つのうち、どちらの無月経かが知りたいので、黄体ホルモンをまず処方して生理が来るかどうか調べます。第1度であれば、黄体ホルモンのみを投与して(卵胞、黄体両ホルモンの合剤のこともあります)とりあえず、薬の力で生理を起こさせます。これを何サイクルか繰り返していると、そのうち自然に排卵が復活してきますので、数ヵ月間投与して排卵の有無を基礎体温表で確認します。まだ排卵しないようであれば、またホルモンを数サイクル投与します。第2度の場合も同じようにホルモン剤(卵胞と黄体ホルモンの合剤)を出します。このタイプはなかなか排卵にいたりませんから、妊娠をご希望の場合は、卵を育てて排卵させる別の薬がありますので、それを利用することになります。うまく妊娠にたどり着くかどうかはケースバイケースです。妊娠が成立した場合、排卵させるために用いた薬の影響は全くありません。自然にせよ人工的にせよ排卵してしまえば、同じスタートラインです。
薬は一種の対症療法
結局、西洋医学的には薬の力で排卵させることはできても、薬を取り去れば無排卵になってしまいますから、一種の対症療法であって自力で排卵できるようになるわけではありません。しかし、現在の医学レベルでは、残念ながらここまでなのですネ。漢方薬の場合ホルモン作用は持っていませんが、飲んでいるうちにうまくいけば自力で排卵することがあります。しかし確実ではないので、何年飲んでもダメだったという場合もあるのです。