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【たすけてドクター】151. 低温期と高温期で体温の変動が少ないのは、黄体機能不全?

2018年8月1日

低温期と高温期で体温の変動が少ないのは、黄体機能不全?

Q.  基礎体温をつけはじめたのですが、低温期から高温期になるとき体温の変動が少ししかありません。0.5~1度しか変化がなく、高温期(36.7度以上)が5日間しかありませんでした。黄体機能不全の可能性が高いのでしょうか? 
(26歳・主婦)

排卵日は“高温期に入る直前の日”
 基礎体温をつけておられるとのことで、非常によい心がけですね。基礎体温は以前にも説明しましたが、簡単にもう一度お話ししましょう。排卵をすると卵巣に黄体という組織ができあがりますが、ここから黄体ホルモンが分泌されます。もし妊娠している場合には妊娠を維持させる機能がありますから、それと同時に体温を少し上げるのですネ。したがって、排卵する前(卵胞期といいます)の体温を計っておくと、そこはまだ低温ですから排卵を境に、高温期に上がるわけです。ですから、体温が上がる直前の日がほぼ排卵日ということになります。

 

高温期を見極めるためには、長期間の記録が必要
  よく本などには、「グラフがいったん下がった日が排卵日」という説明がしてあります。確かに下がって谷を作ってから高温期に入る例がありますが、すべての例がそうだというわけではありません。高温期はグラフが山型か台形状になり、体温の上がる「麓」が排卵日と考えて結構です。ですから、ある程度長い日数を記録していないと、いつが排卵日だったのかを見極めることは難しいといえるでしょう。1日~2日だけ上がってまたすぐに低温に戻ることもあるのです。

 

体温には個人差があり、目安は0.5度前後
  この「高温」「低温」の定義ですが、絶対的なものではありません。基礎体温表には36.7度に赤線が引いてあって、境界としているものが多いのですが、これは一応の目安に過ぎません。体温は個人差が大きく、36.7度くらいで低温期を作り、37.2~3度で高温期になる場合もあり、35度台で低温、ようやく36.3度くらいで高温という人もいます。要は、生理から次の生理までの間に、基礎体温が「低温相」と「高温相」に分かれているかどうかということです。ご質問の方はこの体温差が1度でも、「自分は体温の変動が少ない」と考えておられるようですが、まったくそんなことはありません。個人差もありますが、普通は0.5度前後でしょう。

 

高温期が11日以下だと黄体機能不全の可能性が
 この高温期(黄体期)は14日間前後続くのが一般的で、長い人ですと18~19日という場合もあります。ちなみに21日以上続いているなら、妊娠の可能性が高いと考えられます。11日以下ですと黄体機能不全ということに。ですから、ご質問の方の5日間というのは明らかに機能不全ですネ。でも自己診断せず、サイクル基礎体温を産婦人科の先生に評価していただいた方がいいと思います。妊娠した場合はその維持が難しくなりますので、黄体ホルモンないしはそれに類するホルモンを補充して流産しないようにします。

 

使用する婦人体温計は、水銀型がベスト
 最後に補足ですが、基礎体温に用いる体温計は、婦人体温計といって普通の体温計よりも細かい目盛りのものを使い、朝の決まった時間に口の中で計ります(脇の下は不可)。また、デジタル型と水銀型の体温計がありますが、基礎体温を計るのに適しているのは、実測値を表示する水銀型です。ただ測定に時間がかかるため、忙しい朝には短時間で済むデジタル型が便利でしょう。デジタル型は内蔵のコンピューターで体温の上がりかたを計算し、予測値として表示するため、若干の誤差が出ますが実用上は問題ないはずです。測定した体温は必ずグラフ用紙に点を打って折れ線グラフにしてください。個々人の体温値が問題なのではなく、グラフの形が大切なのです。ちなみにデジタル体温計に内蔵された小さな棒グラフ状に表示されるディスプレイは、大ざっぱすぎて使いものになりませんのでご注意を。

poroco本誌過去掲載分から一部抜粋で掲載しています。

 

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