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【たすけてドクター】161. 生理前の不調に悩んでいます。改善方法はありますか?

2018年8月1日

生理前の不調に悩んでいます。改善方法はありますか?

(質問1)
 生理が近づくにつれて便秘がちになり、腹部もぱんぱんに張ってしまいます。生理が始まると反対に下痢気味になります。何か関連があるのでしょうか?
(34歳・女性)




(質問2)
 生理が始まる一週間くらい前に、ものすごくイライラします。月経前症候群というものなんでしょうか? 改善方法はありますか?
(27歳・女性)

A.

生理前の不調は「月経前症候群」
 女性は生理前になると様々な症状が出ることがありますが、これを「月経前症候群」と呼んでいます。英語で『Premenstrual Syndrome』といい、頭文字を取って「PMS」ということが多いようです。時期としては生理前の黄体期に特徴的に出るのですが、排卵の頃からすでに症状の出る方から、月経前日や、本当に直前になってからようやく症状の出る人や、全く症状のない方まで千差万別です。
  症状は多岐に渡っていますが、身体症状と精神症状の二つに分けられます。身体症状では、下腹痛、腹部膨満感、乳房の緊満感あるいは痛み、頭痛、頭重感、便秘、めまい、吐き気、だるさのほか、体重が少々増えるむくみやニキビ、吹き出物、寒気などがあり、精神症状としては、眠気、イライラ感、不安感、抑うつ感、食欲の亢進、甘味への嗜好などがあります。ときには、原因もないのに妙に悲しくなって涙が出る場合もあります。どこまで続くのかと言いますと、生理初日か二日目で症状がなくなる方が多いのですが、生理終了日まで続くこともあり、個人差があります。
  この中で、もっとも訴えが多いのは、ご質問にもあった症状ですが、イライラ感であるという報告があります。このイライラはその時点で当事者はあまり気がつかないことがあり、人に指摘されて初めて「生理が近いんだ」と気がつく方が多いようです。

不調には黄体ホルモンが関係している可能性が高い
 原因については、昔から様々なことが言われておりますが、あまり解明されておりません。黄体期に限って症状が出るので、黄体ホルモンの関与は明らかなのですが、同じように黄体ホルモンが分泌されていても、症状のない方もおりますので、ホルモンがすべてという訳ではありません。最近、一部ですが分かって来たことは、この黄体ホルモンは体の中で代謝されて、ある物質(仮にAとします)に変化するのですが、実はこのAには気持ちを落ち着かせたり、抑うつ状態を解消する作用があるのです。実際にうつ状態にある人はAが低いこともわかってきました。また、ある種の抗うつ薬がPMSに効くことがあるのですが、この抗うつ薬がAを作るのを促進しているので、うつ状態を改善するらしいのです。
  ちょっと理屈っぽい話で恐縮ですが、黄体ホルモンから変化した物質が関係しているらしいということです。しかし、この説だけではいろいろな症状が出ることの説明にはほど遠いのが現状です。ただ、黄体ホルモンそのものは、腸管の運動を押さえますので、お腹が張って便秘になる方が多いのですが(ご質問の方はこれですネ)、まれに下痢になる場合もあります。

症状によって対処法が異なるので婦人科で相談を
 具体的な治療はどうするのかといいますと、痛ければ鎮痛剤、イライラには安定剤、落ち込みには抗うつ薬、便秘であれば瀉下剤をという風に、対症療法的に対処することがほとんどです。漢方薬には一剤でも多数の成分が入っておりますので、この幅広い症状に対応することができる可能性があります。最近、私がよく用いているのは「抑肝散」とか「抑肝散加陳皮半夏」で、これはイライラなどの精神症状にはよく効きますが、効果は人によって異なりますので、すべての症状が取れるとは限りません。
  PMSは、「生理痛」や「子宮内膜症」の陰に隠れている感じでちょっと地味な存在ですが、多くの方が悩んでいる病気です。いろいろな薬がありますので、お悩みの方は気軽に近くの産婦人科を訪ねてみて下さい。

poroco本誌過去掲載分から一部抜粋で掲載しています。

 

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