さっぽろパンスタイル(20)/ さいとう製パン
札幌で活躍するパンコーディネーター・森まゆみさんのWEB連載。
札幌のパンにまつわる、あれやこれやの美味しいお話をチェックして!
昭和のパン屋を令和につなぐ 「さいとう製パン」
「さいとう製パン」が開業したのは1953年(昭和28年)のこと。
小樽市からニセコ町に移住してきた斎藤正勝さんタキ子さん夫妻によって「さいとう製パン」がはじまった。
開業から間もなくして従業員を雇い、ニセコ町をはじめ、近隣の真狩、喜茂別、蘭越の小中学校の学校給食用パンを扱うようになった。
正勝さんが亡くなった2011年からは、タキ子さんが「夫が大切にしていた機械を錆びさせたくない」と、一日に食パンを10本だけ焼いてパンの製造機器を動かし、手入れをして、パンを販売した。
タキ子さんが90歳を迎えた頃、跡を継いで店を続けてくれる人を探していたところ、札幌のパン屋に働きながら、おりおりニセコ町を訪ねていた四釜明拓さんを紹介された。
四釜さんは「さいとう製パン」の2階に間借りして、1階に住むタキ子さんと二人で店を切り盛りした。
他人同士の老婦人と若者が一緒に住んで仕事をするとは、矢部太郎の「大家さんと僕」を思い出されてほっこりとする。
現在、96歳のタキ子さんは病気療養中で、2年前にタキ子さんから四釜さんにお店は引き継がれた。
親切で丁寧な接客が評判
食パン、メロンパン、あんぱん、クリームパン、ドーナツ各種、揚げコッペパン、クロックムッシュなど約20種類がショーケースに並ぶ。
四釜さんは対面販売で丁寧に接客する。
観光客には、ニセコの観光情報も会話に入れて地元を盛り上げる。
店内にある什器はどれも先代からのもの。
昭和30年代以降の設備が現在もフル稼働
先代から引き継いで使っている製パン用の設備は、現在もフル稼働している。
「モルダー」は、分割したパン生地を後方にある投入口から入れると、ガス抜き→生地のし→丸めをして、長いベルトに乗って現れる。
そのまま型に入れて焼くと食パンに。
小さく投入して出てきた生地はドーナツにも。
30年前と50年前の「ミキサー」も現役!
パン生地をつくるための材料を混ぜる機械。
3種類ある食パン
四釜さんが「さいとう製パン」を継いで最初に取り掛かったのは、パンの材料を一新すること。
輸入小麦、マーガリン、イーストフード、白砂糖、脱脂粉乳など昭和初期からどのパン屋も当たり前に使っていた材料を、
「今の時代のニーズに合った材料を使いたい」と、基本の生地は北海道産小麦、北海道産バター、北海道産牛乳、きび糖、羊蹄山の湧き水に変えた。
人気商品の食パンは、「角食」「レーズン食パン」「全粒粉即パン」の3種類。
「角食」は卵・牛乳などの動物性の食材は使わない。
「ドーナツ」 と 「揚げコッペパン」
ドーナツはシンプルなタイプからチョコやゆず、いちごなどのテイストを変えたものまで約10種類。
日替わりで、7~8種類が店頭に並ぶ。
全粒粉を配合した生地は味わい深く、コクを感じる。
毎朝、開店時間までに焼いたコッペパンを、注文を受けてから揚げる。
砂糖またはきなこを注文に応じてたっぷりと纏わす。
歯切れはサックリ。食べすすめるとふわっと。
昭和、平成、令和の時代を繋いできた
店先に置かれている木製のパンは、ものづくりユニット“ネクタイ″が製作した。
「パンがありますよ」「売り切れてはいませんよ」の合図だという。
昭和、平成、令和と時代を跨いだ「さいとう製パン」は、古い機械を大切に使いながら、新しい感覚のパンを焼いて、その歴史を繋いでいる。
※記載価格はすべて税込です。
※掲載情報は取材時点のものです。施設内容やメニューなどは変更になる場合があります。
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店名
サイトウセイパンさいとう製パン
- TEL 0136-44-2518
- 住所 北海道虻田郡ニセコ町字本通106
- 駐車場 あり
- 営業時間 10:00~16:00
- 定休日 月曜
- URL https://www.instagram.com/saitoseipan/
パンコーディネーター(日本パンコーディネーター協会認定パンコーディネーターアドバンス)
“パンと人を繋ぐ”をテーマにパンと共にあるライフスタイルを提案。
パンイベントの企画・コーディネート、ベーカリーアドバイザーとして活動の場を広げる。
パンとその背景にある様々を取材し、専門誌・テレビ・ラジオ・雑誌などの媒体でパン情報を発信。
消費者向けパン講座「もっとおいしいパン生活」「森まゆみのおいしいパン案内」講師
(株)パンニュース社(東京)ライター。
パンに関するコラムの執筆、講演。