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【たすけてドクター】080.閉経後のホルモン補充はするべき?

2018年8月1日

閉経後のホルモン補充はするべき?

Q. 36歳で生理が止まってしまいました。ホルモン数値は「閉経後くらい」と診断されましたが、このような場合、女性ホルモンを補充した方がいいのでしょうか。妊娠は希望していません。  
(36歳・主婦)

A.  36歳で自然に閉経状態になられたようですが、平均的な閉経年令は49歳ですので、かなり早いと言えます。「生理がないのでラクだ」と思われる方もいらっしゃるでしょうが、これは「早発性卵巣機能不全」といって治療が必要な状態です。女性ホルモンが低下する状態に早く入ってしまい、その分だけ低下状態が一般の方よりも長く続くわけですから、弊害も大きくなります。

  妊娠のご希望があれば、排卵を起こさせるために色々としなければなりませんが、その必要はないようですので、あとは女性ホルモンの低下を防ぐために、ホルモン補充療法に入ることをお勧めします。

 女性ホルモンが欠落している状態が長く続いていると、コレステロールが上昇して動脈硬化のリスクが増加したり、骨の密度が低下して「骨粗鬆症」(コツソショウショウ)になったりします。骨がスカスカになって折れやすくなるのです。これらの病気は進行するまで自覚症状があまり現れないのですが、逆にいうとそこが恐いところで、症状が出た時にはもう治療が難しい状態になっています。

 女性ホルモンの補充は、基本的にはエストロゲン(卵胞ホルモン)というホルモンが中心となります。しかし、この1種類のホルモンだけを補充すると、子宮内膜癌の発生率が上がるので、プロゲステロン(黄体ホルモン)を併用します。ですから治療開始前には必ず子宮癌検診(頚部、内膜)が必要で、その後も1年毎に検診をおこなっていかなければなりません。

 そのほか、ホルモンの補充療法をおこなうと不正出血が時々起こったり、5年以上治療を続けていると乳癌の発生率が統計上2割ほど上がる、といったマイナス面もあります。しかし通常出血は、時間が経過すればだんだんと落ち着いてきます。

 乳癌に関しては子宮癌検診と同様に、乳癌検診もしっかり受けて目配りをしていくことが大切です。近親者に乳癌になった方がいる場合には、やはり慎重な対処が必要です。ただ、全体としては動脈硬化を抑制するというプラス面がありますので、乳癌の発生率が高まるというマイナス面とを比較して考えてみても、プラス面の方が大きいと言えます。

 エストロゲンにも種類があり、摂取方法も色々とありますので、副作用も含めての細かいお話は、産婦人科を訪ねてお聞きになってください。

poroco本誌過去掲載分から一部抜粋で掲載しています。

 

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