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【たすけてドクター】127. 骨盤腹膜炎を繰り返すと不妊につながるの?

2018年8月1日

骨盤腹膜炎を繰り返すと不妊につながるの?

Q.  25歳のとき、「骨盤腹膜炎」と診断され、今春、再発。2回とも「原因菌はクラミジアではない」と言われ、クラリスを内服していました。「子宮内膜症の可能性は低い」と診断されましたが、この病気の再発を繰り返すと不妊に繋がるのでしょうか。
(30歳・会社員)

A. 「骨盤腹膜炎」とは、骨盤内にある腹膜に炎症が生じたものをいいます。腹膜は、お腹の中にある臓器の表面を被っている膜なのですが、そこへバイ菌が入ると膜に炎症が生じ、痛みや発熱などの症状が出ます。女性は男性と違い、膣から子宮腔内を通り、卵管を経て骨盤の中へとつながっています。ですから膣に取り付いたバイ菌は、子宮や卵管を通ってお腹の中まで入り込めるのです。その巣くっている場所により、子宮頚管炎、子宮内膜炎、卵管炎、子宮附属器炎、と病名が変わります。これに対して男性は、体の外とお腹の中には交通手段がないため、虫垂炎ぐらいしか「骨盤腹膜炎」をもたらす原因はありません。
  したがって「骨盤腹膜炎」は圧倒的に女性に多いということになります。その原因は淋菌や大腸菌、ブドウ状球菌などもありますが、格段に多いのはクラミジアです。救急医の間では「若い女性の急な腹痛はまずクラミジアを疑え」、というのが常識だそうです。大体は下腹痛ですが、「肝周囲炎」といって肝臓の周囲に癒着が生じ、ひどい痛みを出すときは、上腹部が痛むこともあります。


  クラミジアは現代の代表的な性病で、ご質問にもある通り不妊症の原因になることがあります。排卵は、卵巣の表面が破れてお腹の中に卵が放出され、その卵は卵管の端にある卵管采から卵管の中に吸い上げられます。この卵が卵管の中を渡っていくうちにもし精子と出会えば受精がなされ、子宮腔内まできて着床するわけです。ところが、炎症が進むと癒着が生じ、卵管の周囲が閉鎖されるため吸い上げができなくなります。それで、卵は卵管に入れなくなり受精が妨害されるのです。あるいは卵管自体に炎症があって卵の交通が上手くいかないということもあります。この場合も、受精が仮になされても受精卵が子宮腔内までたどり着けませんから、結局子宮外妊娠になってしまいます。


  この炎症や癒着は子宮内膜症によっても起こり得ますので、原因は何にせよ骨盤内の炎症は全て不妊症の原因になる可能性があるといえます。

poroco本誌過去掲載分から一部抜粋で掲載しています。

 

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