さっぽろカフェ連載(50)/春楡珈琲
日々の暮らしに寄り添う街の喫茶店
ちょっと疲れたときにふらりと休息するような、あるいは、今さっき買い求めた本のページをすぐにでもめくりたくて立ち寄るような。
「春楡珈琲」はそんな暮らしになじむ喫茶店だ。
大きな窓が印象的な外観。
なにやらいい香りを漂わせるキッチン。
札幌の景観色「楡(エルム)」をイメージしたグリーンの壁。
さりげなく飾られた雑貨や洋書と、
店主夫妻の雰囲気をそのまま映したみたいに、あったかくて居心地がいい空間。
どれもこのお店の大好きなところ。
初めて「春楡珈琲」を知ったのは、オープン前から発信されていたSNSだった。
おやつの試作や店内がリノベーションされる様子、
少しずつできあがっていくお店を眺めながら、勝手に親近感を抱いてオープンの日を待ち望んでいた。
開業は'22年2月。間もなく1周年を迎える。
おなかを空かせて訪れたい、本格的なメニュー
お店を切り盛りする春日さんご夫妻は、それぞれ飲食業界で長く経験を積んできた。
さらに二人とも調理師の免許を持っていることから、
基本的に営業時間中はいつでも食事ができるのもうれしいところ。
料理はどれも美味しいけれど、
私のおすすめはオムライス。
キノコの旨味やピリリと黒胡椒が効いたしっとり系チキンライスの上には、お月様みたいになめらかな肌に仕上げたぷるんぷるんのオムレツ。それを囲むように添えられたやさしい甘さの味噌デミソース。
お皿の上はさながら洞爺湖にぽっかり浮かぶ、浮島みたいな絶景が広がっている。
スプーンでひとすくい。
ちょっとお行儀が悪いくらいに大きな口で頬張れば至福のとき。
(和洋折衷のこの味わいは本当に罪……!)
仕事で来たこともすっかり忘れて、たちまち平らげてしまったのだった。
シンプルながら手をかけたコーヒーに合うおやつ
そしてもう一つ、バタークリーム好きならずとも食べたいのが「春楡日和」。
アーモンドたっぷりの生地に、
お店自慢の「楡影ブレンド」を使ったシロップを含ませ、キャラメル風味のバタークリームを挟んだ贅沢なケーキ。
コクのあるクリームは口に含めばすっと体温で溶けていって、いつも言葉にならない感動をひとりニヤニヤしながら噛み締める。
もちろん、ネルで丁寧に淹れてくれるコーヒーとの相性はいうまでもない。
移り変わる景色を眺めるロケーション
街路樹を眺める窓からの景色がいい。
晴れた日はもちろん、緑がしっとりと濡れた雨の日もいいし、夜にぼんやりと灯りが漏れているのもいい。
あとからあとから降ってくる
ふわふわの雪をぼんやり眺める大雪の日もいい。
つまり、いつ訪れても最高なのだ。
さっきまで空いていたお店は、いつの間にやらにぎやかになってきた。将来の夢の話をする若い女の子たちの向こう側で、赤ちゃん連れのファミリーがランチを食べている。
この自由な雰囲気が、
しみじみ「好きだなぁ」と感じるのだ。
春楡の木のように、いつまでもここに根を下ろしてほしい一軒である。
春楡珈琲 (ハルニレコーヒ―)
札幌市中央区南4条西9丁目1006-12栄輪ビル1F
※記載価格はすべて税込です。
※掲載情報は取材時点のものです。施設内容やメニューなどは変更になる場合があります。